第110集

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○○です。

ついにお目見えしました。パナルジン投与2週でWBCが6200→2900(stab 9,seg 4,
baso 2, lymph 63, mono 21)、中止2週間で元に戻りました。
前回、姫路循環器病センターで経験したときも2週間ぐらいで発熱されていたと記憶
していますが、無顆粒球症は投与後早期に起こるのでしょうか?

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○○です。

横レスで失礼します。

自分は今回のライブを見ていて、Crushも良いかもしれないと思うようになりまし
た。Y stentよりも、strutを開くのが1回で済む分簡単だし、coil stentならともか
く、Cypherなので最大3mmにしか開かないstrutを通しての植え込みになるので、きち
んとやったCrushと比較して、Y stentの再狭窄率が有意に低くなるかどうか、疑問に
思えるようになりました。

LMT分岐部は、がんばってDCAやって、Cypherでcross-overするのが正しいと思ってい
ましたが、(齋藤先生のウデが最大の要因でしょうが。。。)あそこまですんなり
Crushが決まると、どうしようか考えてしまいます。ただ、LCx入口部のみ、なんて
いう人には、今でも初回は何とかDCAしたいし、さらに悩みはつきないです。

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○○です。

ほんと、鎌倉ライブお疲れ様でした。
○○先生のメールは年末の挨拶になっていますが、まだレスされますよね。
ズーッとcrushが話題になっていますが、どうも生理的に・・・・。
どうしてYーステントではいけないのでしょうか?
ストラットが開かないからですか?
でも、crushのfinal KBTも一緒のような気がしますが。
教えてください。

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○○です。

皮疹等のため、パナルジン投与開始早期に中止になる方がいらっしゃいますが、無顆粒
球症はやや遅く出現するので注意が必要だと思います。

無顆粒球症でTOPIC2004で発表させて頂きました。
パナルジン投与後の無顆粒球症はTOPIC後は経験がなく、4例(3000 PCI / 5
yrs)を経験しています。2例は3-4週で発症し、2例は5-6週で発症しました。全例BMS
時代でパナルジン4週間投与でしたので、2例はパナルジ
ン投与中止後になります。

5-6週目に発見された1例は重症肺炎の為、失っております。

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○○です。

貴重な情報ありがとうございました。やはり、2ヶ月ぐらいは気が抜けないというこ
とですね。

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○○です。

鎌倉ライブ、皆様ご苦労さまでした。
コメコメ倶楽部、TRIビアの泉、TRI鑑定団とつつがなく進行することが出
来、これも皆様のおかげと感謝申し上げます。

○○先生、初代「Radialist of the year」 オメデトウございました。
添付の写真は、世界のRadialistと並んで撮ったという意味では、最高の写真で
しょう。

忘年会には、何と75名の参加がありました。
もちろん盛り上がりました。

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皆様はじめまして。○○病院 循環器科の
○○です。(注:男です)
○○医大を平成14年に卒業し、現在3年目です(1・2年目はス
ーパーローテートで研修していました)。
 ○○病院の○○先生・○○先生からTRAnetを紹介して頂き
ました。カテを触り始めてそろそろ9ヶ月になろうとしています。
ようやくCAG術者数も150件ほどになりました。
当院でもほとんどがradialアプローチです。私自身95%以上がradial
アプローチでfemoralアプローチはあまり経験がないです。田舎の病
院で、PCI自体の件数も少ないのですが、寒くなり始めたせいか最近
はようやくAMIが増えてきているようです。
○○は○○地方にあり、この時期になると
盆地のせいか朝〜昼近くまでは霧につつまれ、夜霧も深いという霧だ
らけの地方です。
 とりとめのない挨拶になりましたがよろしくお願いします。

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○○です。当院でCypherステントを使用できるようになり3ヶ月が経
ちました。これまでBMSの再狭窄にはCutting balloonでangioplasyを行っておりま
した。Cypherが使用できるようになってからのBMSの再狭窄もCuttingを行っておりま
す。皆様はどのように治療されているのでしょうか。Cypherを入れていらっしゃるの
でしょうか。教えて頂ければ幸いです。

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○○からメールします.

TRAnet登録○○人目の記念品を心待ちにしております、
○○病院の○○と申します.

先日は入会より前に横浜でのTRAnet忘年会に
勝手に参加させていただきました.

○○大学99卒で現在6年目です.
PCIはまだ初めて3年位で、経験も合計しても200足らずだと
思います.

今年の4月から○○に
研修予定となっております.

今後ともよろしくお願い申し上げます.

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私、○○医科大学第1内科の○○と申します。
2000年に○○医科大学卒業し、現在5年目です。
2、3年目は○○病院にて研修し、現在本大学におります。
PCIはまだ今年ようやくoperatorとして少しずつやり始めたばかりの
素人なのですが、今後いろいろと勉強させて頂きたいと思います。
簡単ですが挨拶とさせて頂きます。
よろしくお願いいたします。

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○○です

BMSのISRに対してのCuttingはまずまずの成績ですが
Cypherが出てからはもちろんISRにはCypherです

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○○です。当院でCypherステントを使用できるようになり3ヶ月が経
ちました。これまでBMSの再狭窄にはCutting balloonでangioplasyを行っておりま
した。Cypherが使用できるようになってからのBMSの再狭窄もCuttingを行っておりま
す。皆様はどのように治療されているのでしょうか。Cypherを入れていらっしゃるの
でしょうか。教えて頂ければ幸いです。

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○○です。

ISRにはCypherを優先的に考えます。
他のダメな要因さえなければ。

先日P-S後のISRにのべ10回のCBをした患者様にようやくCypherを入れ、
(ずいぶん待たされました)
もうその後再発症状ありませんので患者様の満足度は高いです。

FUが楽しみです。

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○○です。

僕が考えるside branch restenosisのmechanismはdrug deliver failureです。
これはstrut malappositionで起こると思いますし、YだとVelocityではどうして
もstrutを歪ませて変形、その結果malappositionが生じるのではないか、これが
ある確率で生じて避けようがないのではないか、というのがYがあまり好きでな
い点です。あと、Yの方がめんどくさいのが次のポイント、最後にYは誰でもして
いるのでYのデータは放っておいても出てくるだろうと言うこと、これらの理由
でYはしていません。
Crushはreverseでない通常のCrushだとstentがstrutをくぐりませんから全く違
う状況です。ただこれまでのレスのとおり全く違う問題もあります。
reverse Crushだとstentがstrutをくぐる部分はほぼ一緒です。ただ対側に引っ
張らないだけまだましかもしれません。あと1stepか2step簡単だと思います。
面倒なのは嫌いなんです、基本的に。だから実はIVUSもすることは好きではない
んですよ、面倒だから。でもした方が最終的に面倒なことにならないからしてる
んです。

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○○ です。

長いほうは33mmがかなり早く出そうなことはcompany personがですが、言ってい
ました。
ただLM用の短いのはまだまだ見たいですね。

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○○です。

> 私の実験によると、crushされるステントは、必ずしも、side branch側の血管壁に付
> 着しているわけではありません。意外に、心内膜側にもぐるような形で、crushされ
> ています。
この心内膜側にもぐるっていうのが理解できてないのでもう少し説明してくださ
い。
とにかく、完全にcrushしてしまうとwire selectionは無理だと思います。僕は
現時点では途中の時点でwire selectionをする形を考えています。方法はまだちゃ
んと決まっておらず考え中です。

> 多分、私のプレゼンテーションのshort stent + Vstentと同じコンセプトだと思いま
> すが、最初、手前に短いステントを入れておいて、その中から、V-stentを行えば、
> すべて、分岐部の内膜は、ステントで覆われることになります。ただ、これをやるに
> は、いくつか問題があります。分岐部直前に分厚いプラークがあった場合、手前のス
> テントを入れた際に両分岐ともにplaque shiftしてしまい、閉塞してしまう可能性が
> あること(特にLMTでは、riskyです)、KBTは、同じコンプライアンスのバルーンを
> 使用しなければ、隔壁部が変形することがあること、3本のDESを使うことになり、コ
> ストがかさむことです。ただ、ステントを切ることは思いつきませんでした。これっ
> て、28mmを10mm+18mmぐらいに切って、2本のDESで済まそうという魂胆ですか?
僕がしてみたことは先生の言われるとおりです。プラークシフトについてはpre
dilationをしておけばあまり問題になるとは思いません。ただ実験系で手前のス
テントを入れた時にremountだったのでballoon burstとなりある程度は拡張した
ものの完全拡張ではなかった状態でVステントをしにいくと、なんと拡張中にス
リップしてしまいました。で、結果的にはぜんぜんダメ、笑っちゃうぐらいgap
を作ってしまったので実際にはproximalの処理をちゃんとしておかないとダメな
ことが分かりました。


> 私は、あのセッションで、先生が、「standard crushでは、IVUSで見ると、side
> branch ostiumにstrutの確認できない例があった」と発言されたのを、crushができ
> ず、T-stentになってしまったと理解したのですが、それでよいのでしょうか?
これは違います。proximalにはちゃんとつぶれたステントがあります。ですので
何らかの原因でステントがあるにも関わらずgapができている、この原因が
distalからのwire crossだと思われます。

以上、もう少しmodelのテストをしてまた進歩があれば報告させていただきます。

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○○です。

○○先生、ありがとうございます。

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○○です。

> PVCが一発か2発くらいなら何とかなりますが、洞性不整脈は意外と手ごわいです。
結局ね、検査中の心拍変動が一番問題ですよね、多分先生の言われる洞性不整脈
と同じだと思いますが。。。
この点からreal 64rawのGEは良さそうだなぁ、って思います。

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○○です。

そうです。○○先生のおっしゃる検査中の心拍変動を意味したつもりです。
たとえ、Afでなくて、sinus リズムでも、心拍変動があると、画像がきたなくなる
ことがあります。
β blockerを内服してもらうことで、その変動は少ない気はしていますが。

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○○です

当院でもBMSのISRには基本的にCypherを使用しています
基本的には最初のstent留置時にパナルジン使用してますので
Cypher留置後のパナルジン使用は問題ないことが多いですし
resteは患者さんにとって多大なストレスですから
それを何度も経験させるriskは避けたいと考えます

ただshort stent内のfocalなresteは
1度だけならCuttingでもいいのかなと個人的には考えています

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○○です。
TRAの皆さんにアドバイスをお願いします。

 症例は、76歳男性。冠危険因子に糖尿病(HbA1c6.5%)、高脂血症
(LDL196mg/dl、スタチンにて肝機能障害)、高血圧症あり。胸部不快によりCAG
目的に紹介されました。
病歴上、腕時計や化学繊維の衣類で皮疹の既往あり。
 カテ所見はRCA#1に90%、LAD#6に75%狭窄の2枝狭心症。2枝とも石
灰化は薄く見られます。LVEF75%。

 造影所見からは2枝ともステンティングの良い適応のようですが、病歴を考え
一旦退院とし、皮膚科へ紹介いたしました。皮膚科からの要請によりステントの
サンプルを提供(GFX:316Lステンレス、DRIVER:Cobalt Alloy)。パッチテス
トの結果は、2種のサンプルは共に陰性。金属スタンダード系列(鳥居)のうち
クロムとコバルトで強陽性、金・すず・鉄・白金・パラジウムで陽性でした。

 こういう方にどういった治療戦略が良いのでしょうかご教授ください。迷わず
CABGなのでしょうか。それとも「ステントが使えますよ」という情報はないで
しょうか。
 
 少し期待するのは、メーカーの説明によれば316LステンレスもCobalt Alloyも
表面は酸化皮膜を作っているので元の単体の金属の性質とは異なるということで
す。また万が一ストラットが破損し中の材質が露出しても、血液中の酸素と反応
して新しい皮膜を作るので金属が露出したままとか溶け出すことはないという説
明でした。

 よろしくお願いいたします。



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○○です

BMSが登場した頃に金属アレルギーは話題になりました
論文も見たことがあるのですが、ちゃんとは憶えてません すみません
うろ覚えですが金属アレルギーの人は高率に再狭窄する?というデータだったかと
思いますが・・・・・(どなたか憶えていらっしゃる方は訂正して下さい)
でも、最近はまったく話題にも出てませんね
今はあまり気にせずBMSを使用しています
DESでも、ポリマーのアレルギーあるかも?っていう噂もありますが・・・
やはり基本的には異物ですからアレルギーのことをきっちりした方が
良いのでしょうか?

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○○です。

添付文書は見てないんですが、サンプルで陰性だったら問題なしとは考えられな
いんですか?

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2000年Lancetの下記Paperと思います。
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Nickel and molybdenum contact allergies in patients with coronary in-stent
restenosis.
Koster R, Vieluf D, Kiehn M, Sommerauer M, Kahler J, Baldus S, Meinertz T,
Hamm CW.
Lancet. 2000 Dec 2;356(9245):1895-7.
Department of Cardiology, University Hospital Eppendorf, Medical Clinic,
Hamburg, Germany. rkoester@uke.uni-hamburg.de
BACKGROUND: Coronary in-stent restenosis might be triggered by contact
allergy to nickel, chromate, or molybdenum ions released from
stainless-steel stents. We investigated the association between allergic
reactions to stent components and the occurrence of in-stent restenosis.
METHODS: Patients with coronary stainless-steel stents who underwent
angiography for suspected restenosis were consecutively included in this
study. Quantitative coronary angiography for analysis of percentage diameter
stenosis was done on 131 patients (mean age 62 years [SD 9]) with 171 stents
6.1 months (2.7) after stent implantation. All patients underwent
epicutaneous patch tests (Finn chamber method) for nickel, chromate,
molybdenum, manganese, and small 316L stainless-steel plates. Patch tests
were assessed by independent dermatologists after 48 h, 72 h, and when
necessary 96 h of contact with the potential allergen. FINDINGS: In-stent
restenosis (> or =550% diameter stenosis) occurred in 89 patients. All ten
patients with positive patch-test results had restenoses (p=0.03). Four male
patients had positive reactions to molybdenum, and seven patients (four
male, three female) had reactions to nickel. No patient with an allergic
reaction to the standard test substances had a positive reaction to the
stainless-steel plates. All patients with positive results had recurrent
angina pectoris and needed target-vessel revascularisation. INTERPRETATION:
Patients with allergic patch-test reactions to nickel and molybdenum had a
higher frequency of in-stent restenoses than patients without
hypersensitivity. Allergic reactions to nickel and molybdenum released from
stents may be one of the triggering mechanisms for in-stent restenosis.
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○○です。

以前RADIUSが出たときに見た文献ですが、金属アレルギーとresteについてのも
のがありました。
Lancet 2000;356:1895-97
ご参考になりますかどうか。
興味がありますので先生、ぜひ結末を教えてください。

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○○です。

○○先生、レスありがとうございます。

>この心内膜側にもぐるっていうのが理解できてないのでもう少し説明してくださ
い。

平面上のモデルで考えると、Crushされる部分が、本幹ステントの真横に来ると考え
がちです。しかしながら、実際には、本幹ステントの真下にもぐっていることがある
ということです。以前、話題になったことがありますが、KBTをして、Yの形にバルー
ンが膨らむことを期待していたところが、Xの形になってしまうことがあると思いま
す。そのような場合に、このような潰れ方をするのではないかと予想しています。

>proximalにはちゃんとつぶれたステントがあります。ですので
何らかの原因でステントがあるにも関わらずgapができている、この原因が
distalからのwire crossだと思われます。

Crushが行われた時点で、なだらかに潰れてしまって、分岐部distalでのapposition
が不良となり、gapができてしまったということではないでしょうか。以前写真を提
示しましたが、side branch stentは、本幹に入ったところで、突然crushされるわけ
ではありません。解決策として、鎌倉ライブでは、side branch stentを20気圧の高
圧で拡張することが推奨されていました。Proximalのstrutは、潰れかかって、目が
詰まっていますから、そこを確実に掬っていく方法があるならば、すばらしいと思い
ます。実験の進展を期待しています。

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○○です。

> 私の実験によると、crushされるステントは、必ずしも、side branch側の血管壁に

> 着しているわけではありません。意外に、心内膜側にもぐるような形で、crushさ

> ています。

この心内膜側にもぐるっていうのが理解できてないのでもう少し説明してくださ
い。
とにかく、完全にcrushしてしまうとwire selectionは無理だと思います。僕は
現時点では途中の時点でwire selectionをする形を考えています。方法はまだちゃ
んと決まっておらず考え中です。

> 多分、私のプレゼンテーションのshort stent + Vstentと同じコンセプトだと思い

> すが、最初、手前に短いステントを入れておいて、その中から、V-stentを行え
ば、
> すべて、分岐部の内膜は、ステントで覆われることになります。ただ、これをやる

> は、いくつか問題があります。分岐部直前に分厚いプラークがあった場合、手前の

> テントを入れた際に両分岐ともにplaque shiftしてしまい、閉塞してしまう可能性

> あること(特にLMTでは、riskyです)、KBTは、同じコンプライアンスのバルーン

> 使用しなければ、隔壁部が変形することがあること、3本のDESを使うことになり、

> ストがかさむことです。ただ、ステントを切ることは思いつきませんでした。こ
れっ
> て、28mmを10mm+18mmぐらいに切って、2本のDESで済まそうという魂胆ですか?

僕がしてみたことは先生の言われるとおりです。プラークシフトについてはpre
dilationをしておけばあまり問題になるとは思いません。ただ実験系で手前のス
テントを入れた時にremountだったのでballoon burstとなりある程度は拡張した
ものの完全拡張ではなかった状態でVステントをしにいくと、なんと拡張中にス
リップしてしまいました。で、結果的にはぜんぜんダメ、笑っちゃうぐらいgap
を作ってしまったので実際にはproximalの処理をちゃんとしておかないとダメな
ことが分かりました。


> 私は、あのセッションで、先生が、「standard crushでは、IVUSで見ると、side
> branch ostiumにstrutの確認できない例があった」と発言されたのを、crushがで

> ず、T-stentになってしまったと理解したのですが、それでよいのでしょうか?
これは違います。proximalにはちゃんとつぶれたステントがあります。ですので
何らかの原因でステントがあるにも関わらずgapができている、この原因が
distalからのwire crossだと思われます。

以上、もう少しmodelのテストをしてまた進歩があれば報告させていただきます。

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○○です。

皆様鎌倉ライブお疲れ様でした。
今年もとても有意義な時間を過ごすことができ
気持ちよく新年が迎えられそうです。

ところで当院ではCypherを使い始めて4ヶ月になりますが、
使用量はおそらく40-50病変、70-80本くらいだと思います。
そのうち、3名が出血性合併症を発症され、とてもかなしい状況です。
1人目はLMTのAMI→BMS、LCx:CTO→DES、LAD→DESですが、
  脳梗塞の後、重症の梗塞後出血を発症され他界されました。
2人目はRCAos→DES、LMT-LAD→DES、LAD→DESですが、
  Uterus Ca後radiationによるcystitisから大量bleedingで一時危険な状況にまでな
られました。
  現在はお元気です。
3人目はLADのOMIでpoor LVの方でLAD→DES×2、LMT-LCx→DESですが、
  脳出血を起こされました。
  幸い軽症のようで(他院入院中)Ticlopidineは中止しなくてもよいと言われてい
るようです。

いずれもTiclopidineが原因で発症したわけではないですが、
BMSなら2週間でよかったのに・・・というわけに行かないところが辛いです。

それと、DESになってから(こっそりですが・・・)LMTにも何例か手を出すようになっ
てきています。
BMS時代と違うのはLMTでもMLD:3.0mmあればなんとかなるかな・・・?
という勝手な解釈で個人的に適応が広がったような感じです。
しかし、LMTにDESが入っているとTiclopidine中止するのが特に悩むところです。
命に係わる出血性合併症ならいたしかたない、ということになってしますのでしょう
が・・・

立て続けで悲しい思いをしました。

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○○です。

先ほどの内容からは矛盾しているかもしれませんが・・・
ご相談です。

80y.o. male
AP
risk factor) DM (insulin使用)
今までに胸痛の精査のため2度CAGをうけていますが、PCI歴はありません。
最終CAGは2年前です。#9:90%, #13:75%のみでした。
最近、胸痛が頻回になりCAGしたところ#9:99%, #13:90%に加えLMT:50-75%に
progressionしていました。
RCAは有意狭窄はありません。
ATP負荷心筋シンチではredistributionはありません。
#9,13は潅流域は大きくなくreferenceもさほど取れそうにありませんのでmedicationで
もいいかと思うのですが、
LMTは見過ごせないように思います。
御高齢ですが、見た目はお元気な方です。
今なら、比較的PCIもやり易いように思いますし、PCIするなら、
DCAでLCxへのplaque shiftを極力減少させ、DES+KBTでどうかな?
と思っています。
しかし、いつものことなのですが、この程度の狭窄に対して
果たしてPCIすべきなのか、すべきでないのかを迷います。
自分の身内であれば恐らくPCIを勧めると思うので、PCIでもいいのかなぁと思うのです
が、
皆様いかがでしょうか?

2年前のCine(拡大)と併せて添付いたします。

2年前

        現在


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○○です。

○○先生、ご無沙汰しております。アグレッシブに戦っていらっしゃるようですね。
AHA分類でいえば、caudal viewは、LMT75%と読みたいところです。2年前より、明ら
かに進行していますね。症状も、胸痛頻回とのことですから、私なら、何の疑問もい
だかずに、PCIいたしますが。。。
ただ、80歳ということですから、表在性石灰化で意外にDCAはつらいかもしれませ
ん。その際は、Cypherのcross-over+KBTで十分だと思います。

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○○です。

○○先生、いつもながら深夜にもかかわらずres有難うございます。
鎌倉ではお会いすることが出来ず残念でした。

先生は恐らくそう言って下さるのではないかと期待していました。
予想道理でしたのでPCIする勇気が出てきました。

ただ、この症例は”当然、PCI”と思ってよいのでしょうか?
あくまで個人的にはですが・・・
最近はDESという錦の御旗のどさくさにまぎれてLMTへPCIしているところがあります。

自分の技量を見極め、あまり調子に乗らないようにしなければ、という気持ちも忘れて
はならないと思ってます。
今回はPCIに傾いていますが・・・
それ以外のご意見の先生がいらっしゃったら是非お願いします。

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○○です.

私もLMT:75%かつ比較的進行性の病変と考えPCIを行うと思います.幸い大きなHLは
LCxから分枝しているようで,迷わず3.5mmCypher×2でY-stentすると思います.
p.s. 冠疾患学会の内科・外科のディベートでLMT〜LADの潰瘍性病変(潰瘍の内容物は
既に流出)に対するCypher留置例(Y-stent)を合併症1%以下で説明したと言ったら○○
大学心臓外科の○○先生はじめ心外の先生から睨まれてしまいました.十分な理論武装
はお忘れ無く.

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○○です。

トリビアでは波紋を投げ掛けすぎてすいませんでした。
いつもいつも○○先生の頑張りには感心させられます。
「この症例は当然、PCIと思ってよいのでしょうか?」というのはCABGかPCIで迷って
いるのではなく血行再建を行うかどうかで迷っているということですよね?
もう10年ほど前に御世話になった心臓外科の先生に、LMTの病変はアンギオ上50%狭
窄で有意狭窄ととれなくても病変の性質上イベント発生時の死亡率が非常に高いので
狭窄度は一段高く判断したほうがよいというありがたい御言葉を頂きました。
以前もレスしたことがありますが、個人的にはLMT病変の血行再建適応を決めるのに
運動負荷心電図や負荷心筋シンチは全く意味がないと思います。もちろん虚血が認め
られたら血行再建の絶対適応になりますが、虚血所見がないことが血行再建不必要に
はならないと考えます。やはり今回のアンギオと進行具合を見せられると血行再建必
要と判断します。PCIが可能かどうか、あるいはどのような方法で行うかは術者の技
量がすべてであり(○○先生なら問題なしです!)、for the patients. less
invasiveを考えればやはりPCIでしょう。頑張ってください!
PS:トリビアの時には壇上で自分のアルコール濃度が高かったこともあり、うまく説
明できず御支持頂いたDr Y,Dr Mには申し訳ありませんでした。 多枝病変のACSの時
に責任病変のみならず他病変に手を出すかどうかですが、現在のデバイスを考えると
おそらく8割ぐらいは手を出しても問題ないような気がします?のエビデンスもな
いのであまり強くは言えませんが、、、
今回のトリビアでも造影剤の量を少なくしたり、診断カテを細くしたりなどfor the
patients. less invasiveのTRIスピリット(そういえばこの発表はDr Y,Dr Mだった
ような?)が伝わってきました。僕の発表は結果としてトータルの心カテ件数、入院
回数および日数を減らすという裏の意志があり、僕なりにTRIスピリットを表現した
かったのですが言葉が少なく、また安全性を考慮していない所は反省しております。
今後安全性をよく検討しエビデンスまで持っていければ数年後には3枝病変のACSが外
来緊急MDCTで3枝がわかって一度のカテで全部直して早期退院。follow upはMDCTとい
うことが可能になるかもしれません。従来のCABGやPCIを繰り返すよりは患者負担が
軽いと思います。デバイスもIVUSやガイドワイヤー、predilatation様のPOBAなどは
共有出来るので医療費の削減にもつながるのではないかと(病院はマイナスか?)思
います。
余計なことを書いてしまいましたが、現在39度の熱発中につき御了承ください。

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○○です。

こんな場合は日本の先生たちが羨ましいですね。○○ではIVUS
が保険にならないのです。それで、Left main の付近は
angiography
で判断が難しいので、なるべくIVUSをしようとしていますが、
患者さんが経済的に苦しいならば、IVUSなしでテキトーに高圧
で仕上げたりしています。(^_^);

IVUSの結果にもよりますが、私なら迷わずに cross-overする
でしょう。病変が少ないLCX os に あまりKBTをかけたくあり
ませんが、狭くなったら、仕方なくKBTをやったり、汗を流し
てprovisional Y-stentになると思います。

質問ですが、まずは胸痛の原因になる#9:90%, #13:75%からPCI
して、Left main に進まれますか?

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○○です

○○先生、いつもヘビーな症例お疲れ様です。
私も、症状もあるのでしたら、PCIをすると思います。
たとえば、お正月、破綻した時に救命できるかどうかが難しと思います。

私はつい先日、宗教上輸血ができない方へのLMTへのPCIで、LAD側へのstenting後
のKissing直後にメキメキとCXへ螺旋状に解離が起きてひどい目にありました。
末梢までステントを入れまくってなんとか逃げました。怖かったです。
あなどれずLMT !(あたりまえですね)
でも、やらないで正月は越せないなぁと思ったので...やって良かったと思っておりま
す。

最近、DCAはほんのちょっとでプラークシフトが起きない程度に・あとはDSEに願いを
込めるという、根性無し戦略が私のお気に入りです。
最後にLAD, HL, CXとキングギドラ・キッシングが必要かもしれませんが、頑張って下
さい。

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○○と申します
コメントと質問です
○○先生,がんばってください

保守的な土地柄であることも影響するのでしょうが,
○○を除く○○の病院で,この症例の方に(80歳であっても)
CABGを勧めない循環器科医がいたとすれば,
「非常識」と罵られることはまず間違いないでしょう・・・

私の感覚では,この症例のPCIはかなり根性がいると思うのですが,
心臓外科がいない/PCPSがない,当院のような環境でもPCIされますか?
(技術的に可能な術者が実施するという前提です)
また,IABPの使用についてはいかがですか?
DCAという選択でも,スタンバイでいいのでしょうか?
ご教授のほど,よろしくお願い申し上げます

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○○です

私もきっとCypherだと思います
DCAには昔から個人的にはメリットは感じておりませんので
CypherのCross-overを基本に考えて、LCxのJustに病変が
くればY-stentにすると思います
最終にKBTがきっちり出来そうならCrushもありだと思います

LCxに手を出したときに#12の起始部がちょっと気になりますね

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○○です。

○○が、九州のなかで非常に変わった環境(?)であることをはじめて知りました!
 ○○の先生、是非、コメントください!! 私には、80歳という年齢のこうした
比較的simpleなLMT bifurcationに、もしPCIというオプションをまったく説明せず、
CABGだけを勧めるのであれば、そのほうが余程非常識に思えますがどうでしょうか?
 自分の父親でしたら、間違いなく、PCIをお願いします。

>心臓外科がいない/PCPSがない,当院のような環境でもPCIされますか?

私は、informed consentさえきちんとなされていれば、やります。ただ、当然のこと
ながら、(CABGよりもずっと低いと思いますが)PCIに伴う生命リスクが、0%では
ないことだけは、しっかりご理解いただきたいと思います。RCAの灌流域を考える
と、幸い、心機能に問題なく、ペースメーカも入っていますから、DCAであっても、
IABPはいらないと思います。ただ、(昨晩も書きましたが)インスリン使用中のDMか
つ80歳なので、表在性石灰化の可能性はそれなりにありそうで、その場合は、あま
りDCAには固執しないでしょう。むしろ、場合によっては、Rotaとか言い出すかもし
れません。

テクニカルには、(どこからアプローチするにせよ)8Frのガイドカテ、(IVUSは通
ると思うので)LAD・HL・LCx本幹からの術前pull back-IVUS(CIVIS)が大切だと思
います。キングギドラは、ワイヤがばらける危険性があるので、HLかLCxのどちらか
とでKBTはやるし、それで十分な結果は得られるでしょう。

なお、awayの環境でLMTをやるときに、意外に役立つのがbi-planeあるいは、あらか
じめ角度を完全にプリセットしてのsingle planeです。aorto-ostialからステントを
いれるときは、LAO15°とか、LAO10°cranial40°なんかがいりますが、
bifurcationだけなら、RAO caudalないしAP caudalと、LAO caudalだけで十分です。
I.I.の動きを単純化してしまうだけで、CTOと同様、手技のストレスはかなり減りま
す。

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○○です。
 LMTの病変がさらに進行する時期を確定することは困難です。12月12日湘南鎌
倉ライブのランチョンセミナーの途中に私の携帯が鳴りました。以前にPCI施行した
患者(72才)が電撃性肺水腫になっているとの連絡でした。急いで○○に帰って、
冠動脈造影しますと、以前はまだ余裕があると思っていたLMTが造影遅延を呈してい
ました。CYPHER 3.5mmをLADに向けてCrossoverさせて留置しました。
 現在、IABPもなく、状態は落ち着いています。ただ、虫歯が悪化しており、歯根部
の感染を起こしています。口腔外科からパナルジンとバイアスピリンを中止してほし
いと頼まれるているのですが、さてはていつ中止してよいものやら?
 待期的に留置する場合、歯科治療もおわすれなく。

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○○です。
○○先生、御指名ありがとうございます。

九州というより、むしろ○○県ではLMT-PCIというStrategyは“無し”ということにな
っていますし、○○Domesticな研究会では、LMT-PCIに関して発表すると、“袋叩き”
にあい、泣かされます。そういう風なお土地柄ですから、施設間での情報交換はなく、
Skillは低下していきます。そこで、“ふんどし一発”、全国区で発表すると、自分自
身のSkillの低さにうなだれてしまいます(ネ!○○先生!!)。来年は、もうちょっと全
国区で切磋琢磨が必要ですね。みなさん、ご指導よろしくお願いします。

そこで、僕の経験から言うと、“PCI”と言うことになります。BMS時代には、LMT-
Stentに関しては、SAT, ATではなく、Restenosisで泣かされました。場所がLMTだけに
Restenosisで
も、患者様の状態は厳しくなります。そういう意味ではCypherが使える今となっては、
80歳というご高齢のこの患者様にはPCIを選択したいと考えます。8Fr FemoralでStent-
KBTでしょう(アンギオシールで4
時間後、安静解除。不穏なし。)DCA-stentは選択しないと思います。Rotaもあまり使
いたくないです。Kissing Stentに関しては○○先生(他、女医さん数名)に、飲み会
の席で暖か
いご指導を受け、自信を喪失しており、それ以降やっておりません(といっても2週間
程度しかたっていませんが、、)。

BMS時代、LMTをいじくった患者様には1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後のCAGをやっていまし
たが、Cypherを入れた患者さまの3ヵ月後は圧倒的な出来上がりであり、(1ヵ月後、3
ヵ月後は心エコーで冠動脈フローのみでフォローして)「CAGは6ヵ月後のみでも良いか
も?」と思っています。

そういえば、光藤先生は「Elective PCIにおいては、あえてIABPをサポートでいれてお
く必要性は無いし、自分自身やったことがない」と言われておりました。僕自身は
「Elective PCIにおいて、あわててIABPをいれるこ
と」はよくあります(汗)。

いずれにしても、こういう場で、情報を交換する事は(特に地方に住んでいると)大切
なことだと思います。

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○○です。

○○先生、早速のレス、ありがとうございます。

>Cypherを入れた患者さまの3ヵ月後は圧倒的な出来上がりであり、

これは、LMTに限らず、自分も最近、心底実感していることです。本当に、“圧倒
的”の一語に尽きますね。RAVELやSIRIUSのデータを見聞するのと、実際、自分が複
雑病変にPCIした方のfollow-up CAGを見るのとではまったく迫力が違います。数ヶ月
前、長いCypherがなかったので、CTOあけて、2.5mmのCypher縦3本なんていいうかた
も、ビシバシに綺麗です。治癒したようで、とても嬉しくもあります。ついに、再狭
窄の呪縛というか、いくらPCIをがんばったところで、複雑病変では所詮、PCIは再狭
窄するので無意味、という批判を否定できる時が来た様に思っています。

たとえば、CTOやっていて、ワイヤリングする際のガッツが、違います。何センチあ
ろうと、あけてCypher入れれば、diffuse ISRを起すことなく、慢性期までOKという
ことが実感されると、“根性”の出方が違っているのがわかります。


>僕自身は「Elective PCIにおいて、あわててIABPをいれること」はよくあります

私なんかは、ちょっと心配ならIABPや体外式PMをいれておくほうです。何にもおきな
いことが大半ですが、最大のメリットは、術者のアドレナリン放出を阻害することな
んだろうと思っています(笑)。いまは、止血デバイスも良いので、あまり遠慮せ
ず、サポートデバイスを使ってはどうでしょうか? 以前、画像を出しましたが、右
femoralからIABPいれて、右TRI 7FrでLMTに、最高回転Rota→stent cross-over→KBT
した症例もありました。

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