はじめに
心臓カテーテル検査、治療は年々その症例が増え続け、現在日本では1年間に約15万
例程のPCI: Percutaneous Coronary Interventionが行われているそうです。それから 推測すると、検査と治療を合わせると年間50〜70万例になるでしょう。さらに、放射線 科、脳外科領域のカテーテル検査も同じぐらいあるそうですので、総数では100万件以 上となります。
心臓カテーテル検査のアプローチ法は、上腕動脈からのCut Down法(右肘付近の皮膚
を切開し上腕動脈を露出させ、そこに小さくカットを入れて上腕動脈に直接カテーテル を挿入し冠動脈造影を行う方法で、シースは使用しない)に始まり、シースの開発によ り経大腿動脈アプローチ法が追加されて、ほとんどが大腿動脈穿刺で行われるようにな りました。しかし近年、経橈骨動脈アプローチ法(Transradial Approach :以下TRAと 書きます)が開発され、その安全性と有用性が認知されるに従い、全国の病院に広まる ようになりました。現在ではTRA/TRIを全く導入していない施設の方が少数派です。
2003年現在、PCIの約25〜30%がTRI: Transradial interventionで施行されているよ
うですが、さらに増えてゆくものと考えられます。私の施設でもほとんどの診断造影、 インターベンションをTRA/TRIにて施行していますが、最近では循環器の先生からだけ ではなく、放射線科や脳外科領域の先生からの問い合わせもあります。彼らも、脳動脈 の造影や肝臓の動脈の塞栓術を施行するのに低侵襲のTRAに注目し始めたようで、す でに実施している施設もあります。
この”TRAの巻”は、これから”TRAを始めたい”、”TRAの勉強をしたい”という若
い先生方や業界関係者向けに、1998年12月に出版した内容に加筆、改訂してホームペー ジに載せたものです。ホームページの第一弾は2000年末からはじまり、”TRAの巻、ホ ームページ版”もその時にアップしましたが、今回2003年春〜夏にかけて、”ホームペ ージ版Ver.2”を徐々にアップすることとしました。
この”TRAの巻”がみなさんの学習やTRA実践に少しでも役に立てば幸いです。
(2003年5月)
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