”TRAの巻”
"TORA-NO-MAKI" for TransRadial Approach



 ここは主に橈骨動脈アプローチ特有の手技、合併症に関する意見、
情報を掲載しています。
 1998年末に”TRA(トラ)の巻”という冊子を1500部出版しましたが、
2001年に”Radialist.com”のホームページを立ち上げるにあたり、そ
の改訂版を公開致しました。管理人がMac派からWin派に寝返ったのに
伴い、2003年の春からホームページの移植作業にとりかかっています
が、夏頃までには移植作業を完了したいと思っています。
 経橈骨動脈インターベンションに関する情報は”TRIの巻”を後日再
公開する予定です。

はじめに
      
 心臓カテーテル検査、治療は年々その症例が増え続け、現在日本では1年間に約15万
例程のPCI: Percutaneous Coronary Interventionが行われているそうです。それから
推測すると、検査と治療を合わせると年間50〜70万例になるでしょう。さらに、放射線
科、脳外科領域のカテーテル検査も同じぐらいあるそうですので、総数では100万件以
上となります。

 心臓カテーテル検査のアプローチ法は、上腕動脈からのCut Down法(右肘付近の皮膚
を切開し上腕動脈を露出させ、そこに小さくカットを入れて上腕動脈に直接カテーテル
を挿入し冠動脈造影を行う方法で、シースは使用しない)に始まり、シースの開発によ
り経大腿動脈アプローチ法が追加されて、ほとんどが大腿動脈穿刺で行われるようにな
りました。しかし近年、経橈骨動脈アプローチ法(Transradial Approach :以下TRAと
書きます)が開発され、その安全性と有用性が認知されるに従い、全国の病院に広まる
ようになりました。現在ではTRA/TRIを全く導入していない施設の方が少数派です。

 2003年現在、PCIの約25〜30%がTRI: Transradial interventionで施行されているよ
うですが、さらに増えてゆくものと考えられます。私の施設でもほとんどの診断造影、
インターベンションをTRA/TRIにて施行していますが、最近では循環器の先生からだけ
ではなく、放射線科や脳外科領域の先生からの問い合わせもあります。彼らも、脳動脈
の造影や肝臓の動脈の塞栓術を施行するのに低侵襲のTRAに注目し始めたようで、す
でに実施している施設もあります。

 この”TRAの巻”は、これから”TRAを始めたい”、”TRAの勉強をしたい”という若
い先生方や業界関係者向けに、1998年12月に出版した内容に加筆、改訂してホームペー
ジに載せたものです。ホームページの第一弾は2000年末からはじまり、”TRAの巻、ホ
ームページ版”もその時にアップしましたが、今回2003年春〜夏にかけて、”ホームペ
ージ版Ver.2”を徐々にアップすることとしました。

 この”TRAの巻”がみなさんの学習やTRA実践に少しでも役に立てば幸いです。
                               (2003年5月)