第101集
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○○です

当院は幸か不幸か半径30km以内に心カテ施設がない田舎ですので患者確保に対して危
機感が薄く
救急症例の確保と救急隊・パラメディカル教育についての皆様のご意見は非常に勉強
になります

話がそれて恐縮ですが○○先生のCPA患者に循環器医が何ができるかということにつ
いて思ったのですが
皆様の施設でCPAで来たAMI症例などに低体温療法は実施されてますでしょうか?
その有用性についての報告をあちこちから聞きますので
当院でもやってみようとはするのですが低体温を維持する本格的な装置は無く
氷水で胃洗浄したりと試みたりするのですがうまく実施できておりません

CPA症例への低体温療法の有用性・実施状況・ノウハウなどについて皆様のご意見伺
えれば幸いです

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○○です。

当院の救命センターは脳外科Drが常駐しており、その協力のもとにCPA症例に関
しては積極的にhypothermiaを施行しています。まだきちんとデータを整理して
いませんが、個人的には救命率・社会復帰率は明らかに上昇している(ことに後
者)印象です。
全く回復の見込みのないケースは適応外としますが、見込みがあれば低酸素脳症
の程度を脳外科医に相談し適応を決定しています。
血行再建を優先するか、低体温を優先するかと決断を迫られることはよくあり、
AMIで脳虚血時間が短くてもすでに痙攣など脳障害の兆候が出ているケースでは
低体温を優先したこともあります。血行再建を優先したケースではカテ中からコー
ルドパックで冷やせるだけ冷やします。
病棟収容後セデーション・深部体温モニター下にコールドブランケットで34〜35
℃程度のmild hypothemiaを24〜48時間行い、徐々に復温しその後セデーション
offとし意識状態を評価します。hypothermia中は心機能が低下すること・感染に
弱くなること・カリウムの管理が難しく2〜3時間ごとの採血によりカリウムの補
給量を調節する必要がある(復温時も同様)ことなどが注意点でしょうか。

個人的に印象に残っているのは昨年4/1に救急隊による指示なしDCが解禁された
当日の全国第一例が当院に搬入され、おそらく5分以上の脳虚血時間があったと
思われたにもかかわらずhypothermiaを行い完全社会復帰できたケースです。結
局診断は特発性心室細動でICDを植え込みました。初期治療・低体温療法では救
命センターのDrにお世話になり、私一人で対応していたら社会復帰は困難であっ
ただろうとつくづく思います。

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○○です。

とても興味深いテーマだと思いましたのでメールさせていただきます。
基本的にhypothermiaを行うが、全く回復の見込みのないケースを適応外にする
ということですが、そこをどう評価すればいいでしょうか。

昨日もCPA症例がいましたが、瞳孔散大・対光反射消失・自発呼吸は非常に浅い・
JCS-300の78歳の女性がおられました。僕が担当になったときにはすでに搬入後6
時間経過しており、先の所見が続いていたのでhypothermiaは行いませんでし
た。12時間後より高熱が出現し血圧が低下、無尿となりそのまま6時間後に失い
ました。血圧が低下しショック状態になったときに、(ドパミン・ドブタミン・
ノルエピネフリン・エピネフリンとある)カテコラミンをどこまで使えばいいの
か、無尿となったときにCHDFを回せばいいかをすごく迷いました。正直に申しま
して、社会復帰が可能となる見込みが非常に低いと考えカテコラミンの使用はド
パミンまで、CHDFは回しませんでした。もちろん家族の方には十二分に説明し
て・・です。こういう判断を自分がしたことに対して本当にそれでよかったのか
ずっと考えていました。

CPA症例の回復の見込みをどう評価すればよいのでしょうか。もちろん個々の症
例によって考えなければいけない問題だと思うのですがとても気になります。
Bystander CPRの有無、予想される心拍再開までの時間、年齢あるいは神経学的
所見(発症何時間後)、自発呼吸の有無、原疾患などを総合的に判断することに
なるのかと思うのですが、是非教えていただけないでしょうか。また、できれば
カテコラミンの使用とCHDFの適応についても是非お願いします。

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○○と申します。6月に○○医療センターから○○病院という○○県の病院に転勤とな
りました。今後もよろしくお願い申し上げます。
 hypothermiaについては以前から興味があり4月の小倉ライブの翌日の
hypothermia educational courseに参加しました。参加された先生もおられると
思うのですが、そこでの講師の先生の話でもhypothermiaの適応決定(やってもだ
めな人を事前にselectすること)は通常の神経学的所見などではかなり困難との
事でしたが中で日本大学のグループは蘇生後も聴性脳幹反射の第5波が認められ
ない症例は何をやってもだめといっていました。詳しいことは良く分かりません
が○○の神経内科の先生に聞いたところ聴性脳幹反射の検査はICUでも十分
施行可能とのことでした。高齢者はだめなことが多いので70ないし75歳を上限と
している施設がおおいようです。

参考までにNEJMの論文の適応は下記のようです。


 NEJM 2002; 346: 549

 最初の状態が心原性と推定されるWitnessed cardiac arrest。initinal rhythm
がVF, pulseless VTで、年齢は18−75歳、意識消失後5−15分で蘇生処置が開
始され、60分以内に循環再開が得られた患者が対象。

除外患者:搬送時鼓膜温で30度以下の患者、CNSを抑制する薬剤のため心停止以前
から昏睡状態にあった患者、妊娠中のもの、循環再開直後から言語によるorder
に反応の見られる患者、循環再開後30分の時点で平均血圧60以下の低血圧群、
SaO2 85%以下の低酸素群、末期患者、フォローアップの見込みのない患者、他の
臨床研究に参加中の患者、救急医療担当者の到着後の心停止、以前からの凝固異
常を指摘されている患者

○○ではその後1例のみ経験(上記適応とはすこし異なりますが)しこの前の
集中治療医学会の地方会で発表しました。

演題名
救急搬送直後に心肺停止状態となりPCPS下に左主幹部にPCIを施行、低体温療法
を併用し良好な転帰を得た1例

まだまだ確立されたマニュアルを作れるような経験もないので経験豊富な先生が
おられたらぜひいろいろご教授ください。

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○○です

 低体温療法(脳低温療法)については、当院でも平成10年あたりからぼつぼつやり始
めています。
 当院には毎年150例くらいのCPAが搬送されてきます。平成9年〜13年までの統計で
は、26%が心拍再開、2.4%が生存退院、0.9%が社会復
帰という成績でした。その後、脳外科と麻酔科の協力の元、低体温治療を本格的に導入
してからは、社会復帰が2%までアップしています。毎年5〜10例は
CPA-hypothemiaをやっていると思います。
 まずプロトコルですが、○○先生のメールと同様、最初に一気に34度まで冷却し、
deep
sedationとして2〜3日維持、その後は0.5度/日の割合で複温していきます。適応があり
そうなら、急患室でS-tube挿入し、冷却生食で洗
浄します。deep
sedationとするのは、shivering(これは体温を上げる生理現象なので)を抑えるため
です。薬剤については麻酔科にお任せしてます。感染
症や水分・電解質管理に神経を使います。感染については肺以外に腸管の菌交代と
bacterial
translocationに注意します。あまりH2
blockerを使わないことと、下剤・整腸剤の投与、抗生剤の選択に気をつけることがポ
イントです。ここ数年は、スタッフが慣れてきたのもあります
が、このようなトラブルで困ることはなくなりました。呼吸管理も、なるべくtidal
volumeを少なめにし(8ml/kg程度)、PEEPをうまく使いながら無気肺を予防します。時
に脳内の温度と酸素飽和度をモニターするため、内頚
静脈から頭側に向けセンサーカテーテルを挿入します。連続心拍出量が分かるように
CCOセンサー付のSwanGanzを使用します。ICUに入ったあと
は、頭部CTの浮腫の程度や聴性脳幹反応(ABR)を参考に、予後を評価しています。つ
い最近も、HCMのVFで来院されたCPAの女性が、全く後遺症
もなく回復されています。
 低体温の手技自体は慣れるとそれほど難しくありませんが、問題は適応です。当院で
は、bystander目撃例で、bystander
CPRが行われ、VfでDCが行われ、蘇生後の意識レベルがGlasgow Coma
Scaleで5点以上、頭部CTで皮髄境界が明瞭なもの(脳外科医の判断です)をgood
candidateと考えています。GCSがすでに9点を越している場合は、脳外科医の話だと
overindicationかもしれないということで
す。あとはcase by
caseです。蘇生直後に脳波がとれる病院はまだ少ないと思いますので、あくまでも現場
の所見でゴーサインをださなければなりません。

 CPA timeについては、適切なCPRが行われていれば、10分でも適応があることも多い
し、正確なCPA
timeが分からない場合も多いので、あまり参考にはしていません。○○ではめったにな
いことですが、寒い海中でのCPAだともっと長くてもいいのか
もしれません。もちろん極端に長い場合は適応外と思います。
 また、来院後の頭部CT(うちはCPA全例にCTを行うので)ですでに皮髄境界が不明瞭
であれば、脳機能予後は極めて不良ですから、積極的治療は行い
ません。
 
 なお、低体温の適応を考えるとき、意識レベルの判定は、JCSではなくGCSを使うべき
です。JCSだと、200と100、100と30の違いがあい
まいです。GCSのほうがより具体的です。
 それから私見ですが、蘇生後の経頭蓋内エコーでMCA(中大脳動脈)の血流を評価す
ると、どうも予後(=脳浮腫)との相関がありそうな印象です。これ
については、方法も簡単なので(心エコー装置で検査できる)今後検討していこうと思
ってます。

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○○です

○○先生の件、MLの一員として私もやるせない思いがいたします

CPA症例への低体温療法について○○先生、○○先生、
○○先生、○○先生コメント・ご教示いただきありがとうございました。
低体温療法においては心機能低下・感染・電解質異常の問題もあり
人的にも設備的にもある程度充実したCCUがないと管理が難しいのかなと感じました
が、
適応のある患者さんにおいては当院でも先生方のプロトコールを参考にさせていただ
き、できるだけ積極的にとりくんでいこうと思います。

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初めまして、○○県の○○病院の○○です。
諸先輩の先生方にずっとTRA-netへの入会をすすめられていましたが、延ばし延ばし
になってしまい、やっと入会できました。
○○病院もなぜか循環器3人という体制になり、後輩もできましたので今後も頑張っ
ていきたいと思います。
これからもよろしくお願い致します。

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○○です。

救急隊への取り組みについて、たくさんのご意見ありがとうございました。
皆さんの最大公約数を以下にまとめました。
皆さん、いかがでしょう? さらなるご意見、追加発言などないでしょうか?

もちろん当院ではこれをバイブルに実践して行く覚悟です。


A、とにかく個人的に仲良くなる工夫

1,定期的な勉強会を開く

・3〜4ヶ月に1回程度の「救急カンファランス」「救急合同研修会」などと
ネーミングした勉強会を開く。(たぶん院内で)
・院内全職員が参加でもOK
・当院に搬送していただいた症例から2,3例を提示し、当院に搬送するまでの
救急隊の処置、救急隊としての診断、そしてなぜ当院を搬送先に選定したか、な
ど搬送までの経緯をプレゼンしていただく
・当院の担当医師がその後の治療、経過についてプレゼン。
・搬送するまでに救急隊に何を求めるか、または救急隊から当院に求めることな
どについてフランクに話し合う。
・医師がミニレクチャ−をする。
・なるべく○○へと移行する。
・Nsを含めたパラメディカルが救急隊の活動に理解を深め、救急救命の大切さ
を再認識。


2,ACLS講習会

・ACLSのコースを行い救急隊に積極的に参加してもらう。
・やはり飲み会は大切

3,搬送の時にワンポイントレクチャー、あるいは後日すぐ報告

・搬送時のECGなどに対し、何かコメントを言ってあげるなどワンポイントレ
クチャーを行う。(ECGを1枚余分に取って、所見とともにあげる)
・心エコーや処置などもなるべく一緒に行う。
・搬送後数日以内(救急隊員の記憶がまだあるうちに)とりあえずの
治療、経過の報告を行う。


B、絶対に期待を裏切らない工夫

1,救急隊ホットラインの構築

・救急隊からの搬送依頼は病院の交換を通さずに直に医師がケイタイで受ける。

2,チーム医療、ベッドを空けて待つ

・チームとして救急隊を待ち受ける。(救急隊に安心感を持ってもらう)
・事務系の職員にも意識改革として心肺蘇生講習などを経験してもらう。
・ベッドは必ず空けて待つ。


C,地域の中核施設としての努力

1,メディカルコントロール体制(除細動など)

地域のメディカルコントロール協議会(救急救命士の挿管訓練、救急症例の事後検
・証会、救急症例検討会)などに積極的に参加する。

2,救急隊の研修受け入れ

・救命士は年間72時間の研修が義務づけられていているので、積極的に受け入
れる。

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○○です。

すべてのcomplex PCIを6F TRIで完遂したい○○です。

症例は、Cx#13のCTOです(図1)。年齢、性別、病歴などは、とりあえず書きませ
ん。
右TRI,ガイドカテは6F Ikari L 4, サポートに1番槍を用い、ネオスインターメディ
エイトから始めました。入り口のfibrous capが異常に硬く、ミラクル4.5でも全く
歯が立たず、コンクエストプロにてワイヤー通過に成功しました。しかし、1番槍は通
らず、マーベリック2 1.5mmも通らず、tornusを出しました。しかしながら、これも
通りませんでした。そこで、5 in 6にして、それからtornusでしばらくぐりぐりやって
いたら、あるところで、ずりずりと通過しました(図2)。tornusが通ったあとは、
1.5mmのバルーンがとおり、ステントを植え込み、あとPLとの分岐を処理し終了で
す。

現在CTOはすべてTRIでやってますが、tornus in (5 in 6)は大変ありがたい裏技です。
システムの出来上がった姿から、3段ロケット(筒状のものが3段になる)と個人的に
は呼びたいところです。



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○○です。

たまたま、JSICのため名古屋へ向かう新幹線で○○先生と会いまして、この症例の話
を伺いました。

Tornusの通過性は、症例ごとにかなり異なっていて、自分自身もはっきりした予測が
できなくて、苦労しています(明日のランチョンでは何例か、そうした実例をお目に
かけたいと思っています)。 Conquest Pro 12grで思いっきりpenetrationして通し
た症例が、案外、Tornusはあっさり通過してしまったりもします。

また、“宗教戦争”になっちゃって申し訳ないのですが(笑)、7Fr long-tipでし
たら、子カテを出すまでも無く、Tornus通っていると思いますが、どうでしょうか?
 LCxで、collateralがどこから来ているかちょっとわかりませんが、LADからのみ
で、radialが太ければ、私もTRIで試みるでしょう。ILは、とても良いカテですが、
LAD方向に比較し、LCx方向のback-upは弱いので、やはり、LCxは、XBかEBUのほう
が、楽だと思います。

私が 5 in 6とか、こういう複雑な手技があまり好きでないのは、やはりワイヤがバ
ラけるリスクが、わずかでも少ない形でやりたいと思っているからです。特にワイヤ
通過後は、なるべくsimpleに済ませられる体制が好きです。パラレルも、昔はマイク
ロをその度に南都法で抜いて、新しく入れるワイヤと組み合わせていましたが、
falseに留置したワイヤの先端が動くことがままあるので、最近は全例シーソーでマ
イクロ2本を使うようにしています。

でも、素晴らしい着想で、とても参考になったので、“大艦巨砲”をもってしても
困ったときは、是非活用させていただくつもりです。

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○○です。

僕ならanchorですね。この間FHの4回CABG後のRCA CTO (wireはwhisperで通った
んで本当はCTOではなかったか?)にTornusして(7F FR)通過せず、その後RV枝で
anchorしてsprinterが通りました。Anchorの方が強い印象です。
このときTornusを大分頑張って、8割方通過したんですが実は抜けなくなってか
なり慌てました。



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○○です。

僕は、anchorは、できるならやりたくないです。予想外に合併症が起こる気がしま
す。

青森で経験したワイヤ断裂のほかに、anchorで進めたバルーンに、多分石灰化による
pin-hole ruptureが生じていて、(ruptureは最初はわかりませんから)拡張に移っ
たとき、末梢までのhematomaを1回、その場所でのperforationを1回経験していま
す。今のTornusはいわば第一世代で、何世代か改良されると、やはり決定版のデバイ
スとして有用性があきらかになるのではないでしょうか?

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○○です。

確かに、この間の症例でもワイヤ先端でperforationしましたから。。。
でもTornusはそんなに役立ちます???結局Tornusで通るのはTornusでなくても
通る、って感じがします。改良されればいいんですが。。。かなり懐疑的です。

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○○です。

卒後10年目、PCIはまだまだ駆け出しです。

TRA-netのdiscussionのレベルの高さに、入会希望させていただき、受理していただ
きました。

今後、初歩的な質問をさせていただくこともあるかと思いますが、よろしくお願いい
たします。

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○○です。

(科学的根拠はありませんが)Tornusは、内腔を取っているだけではなく、表面が滑
らかなlumenを作っている印象があります。
LCxの高度屈曲病変で、前拡張後も石灰化にひっかかってTsunamiが不通過だった症
例で、前拡張による解離の中にTornusを通したら、その後、deliveryができた症例を
経験しました。Rotaには全く及びませんが、状況によっては、プチRota的な効果を
狙って使える場面もあるのでは? と考えています。

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○○です

宗教戦争に油を注ぎそうですが
私は○○先生と同じくできればCTOもTRIで完遂したいと
考えておりますので、3段ロケットには拍手です パチパチ!
でも、もちろん病変によってはアンカーが必要な場合もあると
思います
色々なTIPSを用いてCTOやComplexな病変に
TRIでトライして行くつもりです

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○○です.

当院でもSFAのCTO例に対するPTA症例は増加傾向にあります.○○先生がご指摘
のように,トレジャーはするする通っていきますよね.でも,それでも通らな
い症例や,分枝直後閉塞でワイヤーが分枝にとられてしまう場合,どうされて
ますか?当院ではラジフォーカス逆刺しやバルーン先行でうまくいったケース
があります.coronaryと同じでfibrous capさえ貫通させればあとはするする
とおっていきますよね.しかもSFAはcoronaryのように動いておらず,より直
線的である為,杭打ちを行いやすいというのが,冒険できる理由です.無論ど
うしてもどうにかしたい症例,たとえば重症下肢虚血でampatationが免れない
症例や,amptationをより末梢で行う為の血行再建の場合のみに限ります.少
数例ですが現時点で問題はありません.

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○○です.

○○先生

> SFAは長期成績がよくないようなので、閉塞長が長い症例には否定的な意
見も
> ありますが、self-expandable DESが出れば少しは良くなるのではと思って
いま
> す。

全く同感です.SIROCCO studyではSFAに対するsirolimus elutingのスマー
トステント留置後,6ヶ月まで観てrestenosisなしですので,とても期待が持
てます.

>ABIが0.7以下の人は何らかの症状が出ており、CTOを開いたあとに足
> が楽になったと聞くとついついがんばってしまいます。

このセンテンスが私共を元気にしてくれますよね.

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○○です。
ステントがwallだから、悪いのでしょうね。
再狭窄率はかなり高率です。しかし、アメリカで使用されているsmart stentは、か
なり成績はよいと思います。
ですから、当院ではおおきな声ではいえませんが、病院にかぶってもらって、smart
いれてます。

その理由は○○先生、○○先生と同じく、患者様からの感謝の程度が、PCIで治療し
て患者様より、はるかに感謝の程度がつよいのです。
一度、末梢に手をつけると、患者様のニーズが強く、はやく色々なものが、保険で使
えるといいと思います。レーザーとか、ステントとかですよね。
当院では、CTOは、ラジフォーカスを反転させて、解離をつくりながら、リエント
リーをはかる方法で石灰化以外の人はほとんど、再疎通できてます。
あと、最近は○○の○○先生がTRで使用するワイヤーのスワンを手にいれたのです
が、そこの会社が硬いラジフォーカスみたいワイヤーあるんですよ。それも、突き刺
しようにしようしています。

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○○と申します。

上腕動脈側枝穿孔疑いのご相談です。
今日の症例なのですが 診断カテでいつも通り右橈骨動脈の5Frアプローチで穿刺は
全く問題なしに行きました。
ただしシースのワイヤーを挿入時、少し抵抗を感じたのでワイヤーをくるくる回しな
がら何回か出し入れしています。
バックフローを確認しMulipurposeカテでLVG,CAGを終わり、シース抜去後、ラディス
ポで止血しました。

帰室時より右上腕が腫れてきており、穿刺3時間たった時点でけっこうパンパンに
なってしまいました。
本人は筋肉質なので元から張ってますと言っていますが明らかに血腫と思われます。
時間経過で見てもそれ以上の拡大傾向がないのは確認できました。
腫大を確認してから 上腕動脈にとめ太を巻き、圧を体血圧より40mmHg程度下げて
(特に根拠はないです)、
上腕に少し軽めに弾性包帯を巻いて様子を見ています。

こんな時は経験のある先生方ならどのような対処をされるのでしょうか。
ご教示お願い申し上げます。

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○○です。

すいません。まちがえました。
上腕動脈側枝じゃなく まさに橈骨動脈側枝穿孔疑いでした。

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○○です。

SFAはSmart stentがいいみたいですね。
ところでみなさんが使われてるラジフォーカスは何インチなんでしょうか?
当院では、035のラジフォーカスか、ハンティング(先端がシェイピングしや
すい)を用いていますが、SFAとiliacに関してはたいていこれで通ってしまいま
す。pseudoに抜けるときだけ、末梢用のミラクル(名前は忘れました)を入れて
おいて、パラレルでハンティングを持ち込みなおすようにしています。マイクロ
カテの代わりに4Fのストレートのカテを使っていますが、coronaryと違ってCTO
の中もだいたい進んでいきますので、ワイヤーの交換や成形しなおすのは容易で
す。

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○○です。
腫れたのは前腕ではなくて上腕なのでしょうか?
当院でもワイヤー穿孔やガイドカテによる損傷で前腕の血腫を数例経験していま
すが、出血部の圧迫やロングシースを用いた血管内からの押さえ込みで、大きな
トラブルにはいたっていません。
上腕の血腫だとすると上腕動脈の枝かなにかの損傷でしょうか。上腕のほうが止
まりにくい気がしますが。。。
以前整形外科の先生に聞いたのですが、前腕は逃げ道がないので、腫れがひどく
て内圧が60mmHG以上になると拘縮が起きる可能性があるということで、気を
つけてみています。
上腕は逃げ道があるので拘縮に関しては大丈夫ということですが、その分血腫は
大きくなると思います。

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○○です。

早速のお返事ありがとうございます。
腫れているのは前腕です。幸い更なる腫大傾向は無く、包帯圧迫で落ち着きました。
手先のしびれは認めていないですが 
>前腕は逃げ道がないので、腫れがひどく
>て内圧が60mmHG以上になると拘縮が起きる可能性があるということで、気を
>つけてみています。

ということは包帯による圧迫を強くすると血腫による圧迫も併せて神経損傷、拘縮の
リスクも増大しそうですね。現在止血していると思われる状況なので 少し圧迫をゆ
るめて様子を見ようかと思います。
ありがとうございました。

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○○です。
これって、原因は挿入時のワイヤーの損傷、カテーテル挿入時のワイヤーの迷入なん
でしょうか?
○○先生
シースのワイヤーはなにを使って、カテーテル挿入のワイヤーはなにを使っているの
でしょうか?
当院は、テルモのアングルで穿刺するので、枝に入りやすいので、造影してから、透
視しながら上腕まであげていきます。
以前はカテーテルをあげるときも、35ラジのアングルつかっていましたが、透視を
見ながら気をつかっても、ごくまれに上腕がはれることがあったので、トラネットで
○○先生お勧めのスワンにしてから、安心してあげることが、できるようになりまし
た。
スワン最高ですね。
○○先生に質問、末梢用のミラクルって、朝日がつくってるんですか?

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○○です。

トレジャー12gを最近使わせていただいてます。朝日インテック社製で、ミラクルの
末梢用です。計は.014ではなく、.018です。これから販売が開始すると思います。
主にSFAやiliacのCTO用ですが、もともとこの領域には035のラージフォーカスを放射線
科の先生を使われていたと思います。これは、12gかそれ以上の先端加重があるもの
なので、インテックは12gを第一選択として使えないかと考えているようです。でも、
私たちのfeelingでいうと、末梢にはインターぐらいの3gぐらいが第一選択ではベスト
ではないかと思いますので、トレジャー3とか4.5はどうかという提案をさせていただい
てます。もちろんCTOには12gで。さらにコンクエストの末梢版もいかが?と提案し
ています。
冠動脈のCTOの術者には絶対ミラクル(トレジャー)の方が使いやすいです。
peripheral領域は15年前のPTCAのような領域で何も優れたデバイスがありません。や
っと、トレジャーでワイヤーが少しコロナリーのレベルに近くなったかと思います。

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○○です。

シースワイヤーは普段はストレートラジフォーカスなのですが 昨日の症例はたまた
ま使ったメディキットのアングルワイヤーでした。ラジに比べると硬く しならないよ
うな印
象でした。
カテ挿入時はradialのときはスワン brachialは032 スプリングを使っています。
スプリングは時々J loopがのびきってしまうことあり あまり使わなくなってきてま
す。

おそらく昨日の状況はシース挿入時のワイヤーによる血管損傷と思われます。
幸い、今朝は腫れもひけてきて 橈骨動脈も良く触知し、しびれなどもありませんで
した。
ひとまず安心と言うところです。
ご心配おかけしました。

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○○です

うちでも先日、1例前腕で腫れてしまいスワンを使うことを考えていたところです。
当院の症例では、テルモシース(16cm)の付属ワイヤーは問題なかったのですが、カテ
を入れる時の0.035のワイヤーでUlnar loopのところでどうしても枝の方を向いてし
まい、上腕動脈へ行かないので、ワイヤーを出し入れしてるときに傷つけたと推測し
ています。スワンはloopがきつくて上げにくいようなケースでも簡単にあがるのでしょ
うか?経験が多い方教えてください。

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○○

35ラジから、スワンに代えて、上腕動脈で動脈硬化で蛇行ループしている症例が簡
単にワイヤーが通過してくれます。ですからulnar loopのひどくないのは通過します
が、ulnarがメインでradialがほそく分岐するのは無理と思いますが、安全に簡単に
あがるという意味ではすばらしいです。これって、誰がつくったんですか?もしかし
て、○○先生なの?

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○○です。

本院のカテラボも、ほぼ前例でスワンを使用しています。動脈のループがきつくて、
他のワイヤーに切り替えた記憶は無いですね。○○先生が書かれているように、この
微妙なカーブは絶品です。ブランチに迷入しにくく、カテーテルへの出し入れも簡
単、カテーテルの交換時にコロナリーに入る危険性も少ない、と重宝しています。毎
年若い先生がTRAを始める4月はperforationが多い印象があったのですが、スワンに
切り替えてからは、ほぼ問題無いですね。ただ、ワイヤーに関しては各社特注でいろ
んなタイプが出ています。自分のカテラボのやり方にあったワイヤーを、工夫して
作ってみるのも良いかもしれません。

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○○です.

スワンの発案者は豊橋ハートセンターの鈴木先生だと聞いたような気がします
が...確かにスワンは側枝迷入の可能性が極端に少なく,ほぼブラインドでも安全
に挿入可能だと思います.ただ先端付近の腰が弱く,アーチ越えで下行大動脈へカ
テーテルを持って行く時に逆に苦労することが多々あるようです.
上腕の内出血は時々(時に?いや,まれに?)遭遇しますが,ほとんどがシース挿入
時のワイヤーによるもののようでした.当院ではメディキットを使用していますが,
あのブルーワイヤーは改良してもらったものでも,細い血管内に入った時の穿通力を
考えると要注意だと思います.

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○○です。

やはりあのブルーのワイヤーは危険そうですね。
今日はいつものストレートラジをいつもよりも丁寧に使用致しました。
もちろん何の問題もなかったです。
トラブルの次の日は特に緊張するものですね。

たまに遭遇する合併症は トラブルシューティングもなかなか難しいです。
参考書をみてもなかなか具体的な対処法が見つからなかったりして。
日頃からいろいろ興味をもって接していくのが大切と痛感しました。

スワンは雑誌などでは鈴木先生が広告に出られているようなので 
なんとなく鈴木先生が考案されたのかと思っておりました。どうなんでしょうか。
エクセルというワイヤーも良い印象があります。Jワイヤーで、これも側枝に
入りにくいような感じでした。ブラインドで進めても特に引っかかるような感じはあ
りませんでした。
ただ、カテに入れるのに少し扱いにくいような印象もあり、もっぱらスワンを使うよ
うになってます。

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○○です

当科ではテルモのシースを使ってますが、必ず鎖骨下まで
透視でワイヤーを確認しています
 カテのガイドワイヤーですが、エクセルスワンも使ったのですが
一度側枝に入ったので、以後は使っていません
ワイヤーは当初からテルモの038インチ スモールJを使用しています
シースに挿入するときには添付写真ようにJのまま挿入しています
スモールJはカテに挿入するときはちょっと面倒ですが・・・・
これだと絶対に側枝には入りません
幸いにてこの方法で無事故です



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はじめまして
○○と申します。
出身大学は○○医科大学 昭和○○年卒です。
現在の所属は○○です。
ここ数年は、3人の循環器Dr.にて年間約650例の心カテ、内200例にPCIを行っていま
す。
TRIは4−5年前より、導入しております。
現在、CAG,PCIともにRadial Arteryからが多くなっていますが、Femoralもそこそこ
行っています。

昨日より、会員の皆さんのメールが届くようになり、なかなか楽しそうな雰囲気を感
じています。
これから、このTRA-netを通じて、いろんな情報を収集し、また、メールを送ること
で、自分の疑問点を解決できればすばらしいことだと、と考えています。
皆さん、よろしくお願い申し上げます。

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スワンは豊橋の鈴木先生の息子さんが経営する会社が製造販売をしていると聞き
ました。
無造作にワイヤーを進める若い人が、平気で側枝やcoronaryにワイヤーをいれて
しまうので、何とか防止できないかといろいろ試していた時に、たまたまその会
社の人がスワンを宣伝しにきました。
使ってみてとてもよかったので、TRIビアの泉で出させていただきました。
某社に同じようなワイヤーを作れといったのですが、どうも技術的に難しいよう
です。
私が言っていた、末梢用のミラクルというのはどうやらトレジャーのことみたい
ですね。

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○○です

 当院でも、H9のTRA導入当初からメディキットのシースを使っています(一時、浮気
したこともありましたね、○○先生!)。

 ちょっと前に、導入当初からのTRA2500例中の合併症を検討してみたところ、前腕の1
/3以上を占める皮下血腫は11例でした。このうち、最初の
3例は、H9年ころで、まだradial
spasmに対処する方法が決まっておらず、えいやっ!と抜いた症例です。おそらくは橈
骨動脈そのものを損傷したと思われます。いずれも早めに対処した
ためか、神経学的な後遺症はみられませんでした。
 その後、例のブルーワイヤーになったためか、橈骨動脈の反回枝への迷入による皮下
血腫がぽつぽつ出現していました。ほとんどが人事異動の時期に集中し
ているのも○○先生の施設と同じ傾向です。皮下血腫はだいたい同じような部位(肘関
節よりもやや遠位部)から出てくるので、この部位を要注意ゾーンとし
て認識させるようにしています。その後も同じアングルワイヤーですが、前腕部の皮下
血腫はめったに見かけなくなりました。
 皮下血腫に対しては、小さいときは、血圧計のマンシェットを巻き付けて、血圧+20
くらいで15分くらい圧迫します(穴自体は小さいので、長く圧迫す
る必要もなさそうです)。一度、エコープローベでの圧迫を試みたことがありますが、
結局出血部位が分からず、あまり有用ではありませんでした。
 それでも大きくなる傾向なら、迷わず減張切開します。それほど大きく切る必要もな
く、血腫を搾り出すようにしてやれば、痛みはすぐに消失します。

 メディキットのブルーワイヤーは、枝を選択しながら進む場合には好都合なので、今
でも使っています。でも、通常の35ワイヤーについては、やっぱりス
ワンのほうがよさそうですね。
 橈骨動脈から上腕動脈の蛇行がきつい症例で、時にラジフォーカスが上がっていかな
い時、グランドスラムように先にブルーワイヤーを通しておき、血管を
伸ばした状態でラジフォーカスを入れたことがあります。こういう使い方もありますよ
(スワンワイヤーなら必要ないか)。



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○○です.

私どもも1例研修医施行例で同様のものを経験しました.
当時アングル型を使用していたためその側枝迷入と考えました.
現在スワンエクセルではまったく起こっていません.
その症例は弾性テープで固定していたら治ってしまいました.
やはりradialは合併症が起こっても上腕などに比べ
比較的軽症ですむと感じた症例でした.

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○○です。

皆様の貴重なご経験をお教え頂きありがとうございます。
人事異動の時期に多いって言うのはさびしいものがありますね。

次回は、といってももう起こって欲しくない合併症ですが 今度起こったときにはご
参考にさせて頂きます。
ありがとうございました。

訂正です。
私が使った末梢用のワイヤーは、トレジャーではなく、デジャヴーという名前だ
そうです。
J&Jから出ているそうです。

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はじめまして。

○○と申します。

聞き慣れない名字かもしれませんが「なおの」と読みます。

○○市出身で○○医科大学平成12年卒業です。

循環器内科医としてはまだ3年目で、TRIはおろかPCIそのものに関しても「超」
初心者です。

先日入会された○○先生のもとで、今年の5月まで2年間カテを
教えていただいておりました。

この6月より現在の病院で、このTRA-netを紹介していただいた○○先生指導の下
でさらなる研鑽を積んでいるところです。

私のような浅い経験では発言できる機会がどれだけあるか分かりませんが、様々
な情報や意見・考え方に触れ、

それを日常の診療・手技へとフィードバックできればと考えています。

まだまだ未熟ですが、どうかよろしくお願いします。

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○○です。

当院でも、cypherを2例ほど使用しました。分岐部の処理の仕方について、Cypherの
使用経験の豊富な先生方に質問です。

1.1例は#6、#9の分岐部病変、#6のISRに対して植え込み、#9jailしました
が、flow良好につき、終了しました。BMSならば、KBTで仕上げるところでしたが、
peristent injuryが怖いので、flowがよければ、問題ないだろうと思ったのですが、
DES時代の考え方は、これでよいのでしょうか?
2.分岐部の処理の仕方には、KBT、Y stenting (Y法)、crush stenting (C法)、豚鼻
stenting(P法)が考えられますが、分岐部の股の部分のstent strutの広がりにより
薬剤放出が薄くなってしまうことが、再狭窄のリスクを高めると聞いています。股の
部分のstent strutは、Y法では、両者ストレッチ、C法では、片方ストレッチ、P法で
は、ストレッチはありませんが、隔壁残存します。それぞれの成績はいかがなものな
のでしょうか?C法でも、最後にKBTをするとなると、stent3枚抜きで、拡張しなけ
ればならず、その成功率には疑問が残ります。Crushした隔壁をそのまま残しても大
丈夫なのでしょうか?そんなことなら、Y法のほうが慣れているし、成功率が高いと
思ってしまうのですが、慢性期成績が劣っているのでしょうか?

よろしくご教示ください。

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○○です。

私の説明が不足していたのか、認識が誤っていたのか、まだ、cypher自体の使用が少
ないためなのか、Res無く寂しくしています。田舎で耳情報もあまり入ってきません
ので、是非ご教示ください。
分岐部にCypherを入れた場合、proximal edgeでの内膜損傷を防ぐため、BMSよりも
jailする割合が増えたとか、KBTで使用するバルーンを小さめにする、圧を低めにす
る、short balloonを使うなどの工夫が必要でしょうか?
それから、C法のステントは3枚抜きではなく、2枚抜きの誤りでした。以前、話題
に上った際には、2枚抜きをする際には、new balloonが必要だろうとのことだった
のですが、実際にご経験のある先生がいらっしゃいましたら、その抵抗感や、バック
アップの必要性、成功率について教えてください。

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○○です。

Cypherによる分岐部病変について、そこそこのevidenceがあるのは、ご存知のよう
に、T-stentingすれば側枝入口部にわずかに残るGapから、側枝入口部での再狭窄が
起こるので、できれば、KBTで終了したい、という事実だけではないでしょうか? 
ご指摘の件ですが、私は、DESだからKBTを避ける必要はなく、BMSと同じ判断基準
で、必要ならKBT、それも原則的には高圧KBTをしております。確かに、peristent
injuryの問題はあって、可能ならshort balloonを本幹に用いるべきだと思います
が、(これまでの手技の大半は海外でやってきたものなので、“peristent injuryを
避けるためにさらに1本バルーンをあける”のは、コスト的にとても不可能でしたか
ら)、基本的には本幹はすべてstentバルーンでした。ただ、peristent injuryを避
けるために、多少心がけていることといえば、本幹・側枝の2本のバルーンが、
haggingの形のままCypherの近位端よりも手前にはみださないようにすることでしょ
うか? つまり、側枝のバルーンの近位端は、ぎりぎりCypher内部にとどめるように
しています。BMSのときよりも、いくらか側枝方向へバルーンをおくに入れてKBTして
いるようです。奥へ入れたくなければ、それまで見越して、側枝方向へは15mmのバ
ルーンを使うこともありました。

また、ご提示のようにLAD-D1であれば、症例によっては、D1分枝の前後でLADの血管
径がかなり異なっている可能性があります。IVUSで確認ができるのであれば、むしろ
KBTにして、peristent injuryに気をつけつつつ手前はhaggingにしたほうが、
apositionが良好になるかもしれないです。

C法は、術者として、とても“生理的”に耐えられないので、1度もやっていません。
おそらく、Y法をやりたくても側枝からのstrut crossを技術的に安定してできない、
さらには、2度繰り返すのは時間がかかって面倒くさい、とういことで発案されたの
ではと思います。

P法は、特に“簡単にLMTを直せる”ということで、海外では最近、“流行している”
ようです。何度もP法指定で依頼され、デモをしました。確かに容易で、ワイヤクロ
ス後は数分で終わってしまいます。Cypherを使えば8ヶ月程度での再狭窄率も低いで
しょう。ただ、数ヶ月まえ、痛い思い出があります。Cypherの品揃えの問題から、LC
x方向に多少不本意な長さのものを選択せざるを得ず、側枝を踏んでしまい、その処
理を行おうとしたところ、ワイヤが全部LMT内の2重隔壁越しにしかLCxに入らず、結
局バルーンなどを一切持ち込めず、悩みました。ただ、そうこうしているうちに、
flowが改善したので、患者さんが高齢だったこともあり、それで終了した経験があり
ます。システムは、8Fr TFI・XB3.5でした。

ですので、P法を行うと、いわゆる再狭窄を免れても、もし、数年後に、LADやLCxに
simpleな新規病変が出た場合は、まったく何もできず、CABGせざるを得ないと思いま
す。それに、PCIについての情報が残る自施設でカテを行うとも限りません。予想さ
れる平均余命があまり長くなく、かつ、複雑な手技を避けたい高齢者、それと、血行
動態的に複雑な手技をやる余裕がまったくない緊急症例を除いて、すくなくとも、今
後の平均余命が十分期待できる年齢の待機症例に対して、LMTでP法はやるべきではな
い、と認識しています。ただ、4AV-PDなどでは、acceptableかもしれないです。

Cypherを用いたY法は、面倒ですが、隔壁はないというメリットがあります。ただ、
Cypherの側枝方向は、3.0mmにしかならないので、そこを通してY法の形でもう1本い
れて、本当に大丈夫か? という疑問はつきません。ただし、evidenceは何もありま
せんし、これまでのBMSのstudyをみると、きちんと高圧KBTしているものは多くない
ので、Cypherで高圧KBTで終了するという前提なら、結果は期待はできるとも思いま
す。Taxusであれば、3.75mmまでOKですが、このステントの構造は、側枝方向へのバ
ルーン通過に難渋することが少なくなく、Y法をやるのはかなり手間がかかります。
早い段階で、Driverのようなcoil stentに有効な薬物が塗布されたDESができること
を期待します。

日本は、世界で唯一、保険償還下にIVUSとdebulking deviceが使える環境ですから、
そうした方向性から、分岐部病変にたいして、何か最高の結果を残せる戦略を提示で
きないか、と思います。

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○○です。

○○先生、Resありがとうございました。いつも、明快なご回答で感謝しておりま
す。
KBTに関するご意見大変参考になりました。必要以上に神経質になることは無いが、
balloonがstent proximal edgeを出ないように十分配慮が必要ということで、今後の
治療に生かしていきたいと思います。
P法の隔壁の処理法ですが、現在製品不具合のため、回収されていますが、Bostonの
multifunction porobing catheter(光藤先生がよく使われるものです)を使えば、確
実に隔壁部のstrutをGW通過させることができ、balloon拡張できれば、共通経路を隔
壁なしに綺麗な形で確保できるのでは?と思っているのですがどうでしょうか?た
だ、手技の煩雑さはY法とあまり変わらないかもしれませんが。
Y法におけるCypherでの側枝口は、3mmということで、LMT lesionでの使用はまだ疑問
が残るとのことです。現実に今後の平均余命が十分期待できる年齢の待機症例に対
し、LMTにstentを入れざるを得ない例には、(1)cypher Y法、(2)cypher P法、(3)BMS
(coil stent) Y法、(4)ひたすら、debulkingしてstentは入れない、(5)CABG、状況
により、選択は変わるでしょうが、DES時代の一般論としては、どう考えるべきで
しょうか?

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○○です。

○○先生、早速のレス、ありがとうございます。

>共通経路を隔壁なしに綺麗な形で確保できるのでは?と思っているのですがどうで
しょうか?

やったことがないのでわかりません。P法で苦戦した症例の経験からすると、スト
ラットは2重になっているので、LMTでのカテ先方向(通常上向き)と隔壁の位置を考
えると、とてもバルーンを隔壁越しに持ち込めそうは無いと思いますが。。。 位置
によっては、バルーンが理論的にもまったく広がらない可能性もありますし。

>現実に今後の平均余命が十分期待できる年齢の待機症例に対し、LMTにstentを入れ
ざるを得ない例には、

JISCでも発表したように、ウチは待機症例のnon-protected LMTに対する第一選択の
治療手段は、PCIです。BMSの場合は、ひたすらDebulkingしておいてからBMSをいれ、
CSA>10を目指す、という感じでした。DES時代には、適度にdebulkingしておいて、
plaque shiftを予防し、かつstentの拡張が良好になる下地を作っておいて、DES+KBT
が原則だと思います。

ただ、LCx入口部に高度狭窄があって、どうしても双方向にstentが必要である場
合、クロピドグレルが使えない状況で、CypherでY-stentingをする方が本当に良いの
かどうか、難しいと思います。自分のdataでもCSAが10以上とれればまず再狭窄はな
いですから、そうした病変なら、8月から保険償還となるDriverでY-stenting のほう
が、良いかもしれないですね。こればかりは、今の段階ではわかりません。自施設で
なら、待機症例にCypher-P法は、超高齢者を除いてまずやらないと思います。

いずれにせよ、Cypherも、Taxusも、3.5mmまでしかないので、後拡張を見越してLMT
に入れても、意外に浮いてしまい、後拡張あるいはstrutのバルーン・クロスに難渋
するケースがあるかと思います。DESでLMTを本格的に治療するには、4.0mmのサイズ
が不可欠でしょう。

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○○です。
○○先生勉強になります。DESのLMTに関しては、SATがおきないのであれ
ば、使ったほうがいいというのは、確実ですよね。
そのような観点からは、Cypher P法は、SATの危険性はあるので、以前○○先生が
提示されたように、血圧も不安定ですぐに血行再建する方法として、緊急回避的な処
置なのではないでしょうか?あと、将来にその末梢に狭窄が進行するかもしれない高
齢者以外には、その後の処置を考えると絶対するべき手技ではないと、思います。
個人的には、ステントが浮かないのあれば、cypher Y法で、高圧KBTで治療したいで
すね。

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○○です

Cyperに関してはまだ1例にしか使用してませんが
私も○○先生と同様に保険償還されたら治療の必要な分岐部には
Y-stent + KBTをしようと考えています

C法はまだまだ問題も多いし、P法はやはり後が大変なので
緊急時だけの技だと思います(それに6F TRIでは出来ないし・・・)

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○○です。

○○先生、○○先生ご示唆ありがとうございました。
Cypherが出てきて、LMTまで治療できる夢のステントかのように思ってましたけど、
まだまだそのレベルではないということですよね。
ただ、外国からの話題として、C法やらP法が出てきて、今までやってきたY法が劣る
んだろうかと疑問に思っていましたが、最終手段は、Y法高圧を選択しても問題ない
ようなので安心しました。

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○○です。

後からの参加ですが。。。
僕は(○○先生の例もあることはありますが。。。)LMCAに関してはParallelは
十分ありと考えます。
簡単、手軽、も大きな要素ですし、あとステントストラット同士での傷の影響が
最小限というのももう一つの大きな要素だと思います。最終的にはbifurcation
用のステントがでるとは思いますが、それまでの主流はPになると思います。

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○○です。

○○先生、○○先生、ありがとうございます。もう少し、ちょっと哲学的なお話をさ
せてください。若干、過激ですが。。。

僕が、CABGが大嫌いなのは、ポンプを回せば必然的に脳梗塞のリスクが生じたりする
こともありますが、オフ・ポンプであっても、何より、高度狭窄にバイパスすると、
グラフトがpatentなら、nativeの高度狭窄は“CTO”になってしまいます。そう、
CABGは、虚血性心疾患の最大の不良予後規定因子のひとつである、“CTO”を作って
しまう面もあるわけですね。まだ、つないでいるのがLITAのように、半永久的に長持
ちするものならともかく、SVGのように、数年でいかれてしまって、後は“CTO”が残
るだけ、という治療を、大きな侵襲で辛い思いをさせてまで患者さんに受けさせて良
いのか? と長年疑問に思っております。

PCIの最大の長所のひとつとして、順行性の血流が確保されますから、再狭窄さえ逃
れれば、あと何が将来おこっても、いくらでも再治療が可能なことではないかと思い
ます。LMTに対するP法やC法は、そのPCIのよさがまったく消失してしまいます。何
か、ちょっとしたことがおこっても、もう、LMT周りに金属隔壁が生じるので、2度と
再治療ができない恐れがでてきます。P法やC法は、(緊急避難や超高齢者をのぞい
て)PCIの根源的メリットをまったく減殺してしまう治療と考えます。

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○○です。

何か、同タイミングだったみたいですね。

>それまでの主流はPになると思います。

尊敬する○○先生に反論して申し訳ないのですが、僕は、日本に限って言えば、いま
や“国技”とも言えるDCAないしRotablator+Cypher+KBTが主流だと踏んでいるので
すが。。。
やはり、待機症例では、IABPをサポートにいれても、何としても二重隔壁は避けたく
思います。自分がいま、LMTが悪くなってPCIをうけるならそう思いますね。(まだ若
いですから??)P法とC法だけはやめていただきたいと術者に訴えます。左側のIABP
なら耐え忍びます。
海外で、IVUSも、“国技”も使えない環境の中、いくら先方のリクエストとはいえ、
たくさん二重隔壁を作ってきて、acute resultは良いのですが、内心、ほんとうに、
いつも疑問に思っているというか、罪悪感にさいなまれますもん。

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○○です。

うーん、これはどうもしばらく見ないと分からないでしょうね。。。僕は自分が
患者だったらCrushはやめて、といいますがParallelはやめてとはあまり思わな
いですね。。。最初は「ひどい」と思いましたがLMCAのだけは許される、と思っ
ています。LMCAで十分両方のステントが拡張していればなんとかdistalへの系路
は確保できると思います。そのためにも最初に入れる時に後で苦労しない入れ方、
は考えないとダメでしょうけど。
日本の国技、は柔道のように世界標準になる国技と相撲のようにどうしても
localな国技がありますよね、僕は「きれいなParallel」で柔道のように世界を
征服するほうが意味がある?ような気がします。相撲は驚かれるけど誰もしなけ
りゃあまり意味が。。。いかがでしょうか?

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○○です。
DESはTLRを限りなくゼロにするけど、それ以外の心事故はBMSとかわりませんよ
ね。その理由はSATが原因と思います。極端なことをいうと、BMSではLMTなど
の一部の場所を除けば、再狭窄ごときでは死ぬことはないですが、DESでSATをお
こすと死ぬことあると思います。DESいれても、BMSと死亡率に差がないという
ことが、すごく重要で、絶対SATを起こさないDES植え込みが必要だと思いま
す。IVUSガイドもより重要になるんだろうと思います。
だから、SATがおきる要因のP法は、どうしても容認しがたいのです。とくにLMT
にいれて、万が一なんて考えるとぞっとしますがおきないもんでしょうか?

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○○です。

以下は別からの情報の転記です。

これによると、○○先生のところが日本最短のようです。
昭和大は本院のことでしょうか。

最長は約26日で長崎大?  トホホ・・・・・

ウチはDPCが導入されていないので質問ですが、これによると、
<在院期間7日の場合・・・22118点> となっていますが、このほかに取れるも
のとしては材料費(バルーン、ステント、ガイドカテなど)だけですか?


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@疾患別平均在院日数情報からの病院選び /DPC
先日、平成15年度DPC参加施設の疾患別平均在院日数が公表されました。
そのデータ内容から例えば、診断群分類番号04008030***00* 肺炎〜の
ALOSが17.53日となっていましたが、これ情報により患者側では肺炎〜で
入院した場合、医療機関は約18日前後を中心としたパスが作成されていて
(入院計画が立てられて)、その期間内に退院できると認識・期待される
ことでしょう。
また、診断群分類番号0500503*05001* 狭心症〜PTCA・ステント〜
(詳細下記)ではALOSが14.23日。最短は兵庫医大の約7日、昭和大の
約9日などで最長では約26日の日鋼記念や長崎大となっていました。

 診断群分類番号:0500503*05001* 
 診断群分類名称:狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈ステント留置術 
 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病あり
 入院期間による点数:
    〜6日まで 3273点
  7日〜13日まで 2480点
  14日〜29日まで 2108点

  在院期間7日の場合・・・22118点
  在院期間26日の場合・・・64402点

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○○です

○○、○○両先生のdiscussionに割って入るのは勇気がいりますが、若輩者の一意見
として、、、

個人的には○○先生のご意見(哲学)にとても共感しています。

分岐部を含めたLMTの扱いにはLADとLCXの血管径と比が大きな因子となるように思い
ます
特にLCXがLADに比しsmall(3mm以下)であればcypherでのstent+KBTで十分ではない
かと思っています。ただLAD, LCXとも3.5mm以上あるような場合ではY法において
cypherのストラットがKBTにより十分に拡張できるか?という問題があり、Taxusが出
ればそういうapproachもよりやり易くなるのでしょう。
現時点では○○先生が仰られるようにParallelという考え方もありかなと思います
が、Parallelは手技自体はsimpleですがstentのpositioningが大きな要因になるかと
思われ、高齢者の緊急回避症例を除いては私では手が出せないと感じています。

それとcypherについてはLMTへの禁忌になっていますので、LMTへの使用をどうお考え
でしょうか?本当にcypherが必要で、パナルジン使用についても安全な服用が確認さ
れている症例においては当院でも使用することになるかと思っていますが、万一SAT
等の合併症が起こって、ご家族からの指摘があった時を考えると躊躇する面がありま
す。

************************************

○○です。

Cypherではありませんが、
BMSのP法で苦い経験を持っています。

LMTの高齢AMI症例に対して、
P法でステント留置した際に、LMTの近位側に解離が起き、
LMT内へステントを追加する必要が生じました。
LAD側に通したワイヤに乗せて、
LMTの近位へステントを追加したのですが
(追加ステントのサイズは4mmか4.5mmだったと思います)、
ステントバルーンのショルダーがどうしてもLAD側のステントに
かかってしまいます。
ショルダーといっても、
それなりの大きさのバルーンがLAD側のステント内で膨らむわけですし、
CX側のステントを変形させるのは確実です。
アンギオ上はCX側のステントの変形は確認できず、
CXのフローも良好でしたが、
CXへワイヤーを通しなおし、
CX側のステントの再拡張を行うこととしました。
しかし、ワイヤーが隔壁を通過してしまうためか、
CXのステントが潰れてしまっていたためか、
バルーン不通過で終了となりました。
幸いにSATは発生しませんでしたが、
この例を経験してから
P法は行っておりません。
個人的には待機例で行う手技ではないと思います。

************************************

○○です。

○○先生お疲れ様でした。

>P法でステント留置した際に、LMTの近位側に解離が起き、

私は幸い経験がないのですが、この合併症は、LMT近位部にそこそこのplaqueがあっ
たとき、とても心配になりますね。一例だけですが、Short LMTでうまく着地点がな
く、無理をすると手前が解離しそうな、いやな予感がしたので、LCAのAorto-ostial
からP法を、3.5mmのCypher 2本でやったことがあります。ガイドカテは、8Fr
XB3.5-SHでした。もちろん、そのように依頼されたので、施行した手技でした。これ
をやると、PCI後はガイドカテは当然どちらか側のCypherにしかはいらず、最後の造
影もあんまりきれいではありませんが、LMT近位部の解離は予防できるし、LCAの
Aorto-ostialですから、そこそこの長期予後は良好だと思います。

ただ、こんなことやってて良いのだろうか?? という自責の念はつきまといました
が、DCAができる環境でなく、患者さんはCABG絶対拒否だったので、そんなものかな
あ、と自分を納得させていました。数ヵ月後の時点で再狭窄はなかったようですが、
相撲取りゆえの悩みでしょうか? ね、○○先生!



************************************

○○です。
○○先生、○○先生症例ありがとうございます。
SATはどんなもんなんでしょ?
絶対ストラットは隔壁以外でも浮いてますよね。
太いから大丈夫なんでしょうか?
○○先生含め皆さんはそこは、どう考えているのか?知りたいです。弁証法で勉強さ
せてください。

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○○です

○○先生、情報ありがとうございます

PTCA, ステント留置術のDPCで包括外で算定されるのは
○○先生の示されてるように材料費(ガイディング、ワイヤー、ステント等)
です、ただしPCIは保険上はKコードですので手術として
算定されます DPC上では手術中に使用する薬剤も算定されます
ですのでPCIの抗生剤、点滴、造影剤等はすべて算定されます
ただし、カテ室で施行することが原則ですので
当院ではルート確保、抗生剤すべてカテ室で行っています

しかしこの情報で最短に選ばれたのは光栄です
早くからクリニカルパスなどを導入し、在院日数短縮
を目指した結果だと思います しかし7日とはまだまだ長いですね
それでも、DPCを導入して平均在院日数を短縮すると病棟ががらがらになります
ので症例集めに必死になります・・・・

○○先生 よろしければこの情報の出典を教えて頂けないでしょうか?
今後の資料としたいです

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○○です。

○○先生のおっしゃる ”柔道のように世界を征服するほうが意味がある”という哲
学に大賛成ですが、P法が柔道であるとは私は思いにくいです。
YがしやすいDESが待ち遠しいところです。また、各社ともBifurcation用ステントを
研究・開発中だとは思いますが。。。
現状では、○○先生が最初に提示された、Y法で高圧KBTという方法に賛成です。

それと、P法では確かにSATが心配な気もします。ただ一方でYでもLMTに重なる部分が
多いとSATの危険がふえるのでは?という懸念もあります。
まだまだ分岐部に関してはデータ不足で、いくつかの施設でNの少ないデータが提示
されているだけで、各手法でのSATや再狭窄率に関してもエビデンスが確立していな
いと思います。

************************************

○○です。

個人的には、隔壁の残るP法、C法には抵抗がありましたので、LMTは従来どおり、Y法
高圧KBTをかけるつもりです。

Cypherに関して、もうひとつ教えてください。
あと一例は、ISR(ML tristar 3.0)を繰り返す例に植え込みました。12気圧30秒、16
気圧30秒の計1分拡張したので十分だろうと思って、IVUSを見たところ、2.3mm程度に
しか拡張していません。Quantum-Maverick 3.0 20気圧を追加して、2.6mm前後になり
ましたので、終了しました。実は、stentに対する内膜増殖反応が何度も繰り返して
いるのに、stentを入れた分さらに確実に内腔が狭くなるstent in stent というのは
疑問があったものですから、BMS時代の今までは、これを一度もしたことがありませ
んでした。最初の拡張で十分広がらなかったのは、cypherが硬いのか、stent in
stentのため、十分広がらないのかよくわかりません。
Compliance chartからは、十分硬いことがわかりますし、SERIUS IVUS studyでも18
気圧近くかけていますので、高圧が必要なのは間違いないようです。それでもstent
in stentでは、こんなに広がらないものなのでしょうか?
おそらく、諸施設とも、cypherの使い始めは、ISRが多いのではないかと思いますの
で、皆さん興味のあるところだと思います。

************************************

○○です

私もP法には消極的です。
手技的なポリシーの点では○○先生のおっしゃられた理由に賛成ですし、さらには○○
先生や○○先生がご指摘されたようにSATが増える可能性があるからです。ですの
で、待機的症例ではまずP法に行かなくてすむようなstrategyで、少なくても努力す
るべきだと思います(自分でそうできるかには多少の不安が伴わないこともないもな
いのですが・・・)。
さらに緊急の場合といっても、待機症例中の緊急対処としてするのはやむを得ないに
しても、緊急症例は待機症例に比べてSATは起こりやすい状況なわけですから、なお
さら避けたいですよね。特に我が国はReoproなんぞも使えない状況なわけで。
というわけで、どうして避けたい手技のひとつ、と私は考えているのですがいかがな
ものでしょうか?

************************************

○○です。
3mmのISRであれば、繰り返すような病変はステントがもともと広がっていない
(何回も繰り返しているので、ivusで確認すれば、これは解決しますがね。)もしく
は、ステントが広がりにくい病変なのでしょうね。
ですから、cypherのせいよりも、病変のせいではないでしょうか?
ただし、ISRにたいしては、この程度の拡大で十分ではないでしょうか?
bxの経験からは、病変との組み合わせによもよりますが、このステント自体は大変硬
く、SDSで20気圧でも足りなく、26気圧を必要としたことが、しばしあります。
しかし、cypherをここまで拡張する必要はないと思うので、bxの特性として、お話し
ました。

************************************

○○

○○先生と同じですね。
IVUSではあれほど、アポジションにこだわるのは、SAT予防のためと理解している私
としては、ステントストラットが浮いてる手技は、どうしても容認できません。Y
stentは、ステントは2枚になる部分がありますが、高圧(16気圧以上)でKBTをす
れば、アポジションは問題ありませんので、SATはおきません。P法で再狭窄なく
ても、SATをおこす可能性がある手技はどうも、理解できません。

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○○です。

結局問題はP法のSAT率、だと思います。
そこでPでのLMCAないのstrutによって本当にSATが生じるのか、それが問題なの
ですが SATの発生に対して「これ」と言った強いsingle factorは報告されてい
ないはずです。つまりstrutがむき出しになっているからSATが多いというのはま
だ全く証明されていないのではないでしょうか?
僕自身のあくまで個人的な考えですがDr Parkが行なったP法のIVUSを見ておのお
ののステント径がかなり確保されていた(3.0*2.5mm程度もしくはそれ以上?)
ことが最もP法を容認する考えになった原因です。
あのかなり大きな内腔があれば乱流で血栓が出来てもSATになることも少ないの
ではないか、とイメージしています。もちろんこれにも何ら根拠はありません。
SATが高いのはSAT要因が複合した場合、とは報告されていたと思いますし自分自
身の経験ともよく一致します。
つまり、SATが本当にそんなに増えますか?っていうのが僕からの逆の質問です。
ちょっと乱流が起こってもLMCAだからビュービュー血が流れているところのSAT
が本当に増えるのでしょうか???

ps. でもなんでSATで閉塞するのでしょうか?dissection abrupt closureなら
false lumenがtrue lumenを強く圧迫することで閉塞するというmechanismは理解
容易ですが血栓ごときでどうして動脈圧に打ち勝つ力を得ることが出来るのでしょ
うか?誰か知ってたら教えてください。

> IVUSではあれほど、アポジションにこだわるのは、SAT予防のためと理解している私
> としては
ps2. ステントが十分大きく広がった時はmalappositionでよく止めてますがSAT
は起こらないですよ。。。○○先生。


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○○です。

strutがむき出しになっているからSATが多いというのは証明されていないと思いま
す。
SATを生じた患者群のIVUSをretrospectiveに振り返ると、術後の incomplete stent
apposition (ISA) の頻度が過去のIVUSを使用したトライアルより高率であったとい
うペーパーはEHJにあります。
しかし、TAXUS II で、post で生じたISAの患者も、6ヶ月後にはじめて生じたlate
acquired ISA の患者も、12ヶ月までfollowしてstent thrombosisを生じた症例はあ
りませんでした。
なので、現時点ではステントがういていることがSATにつながるとは考えにくいです
が、drug の血管壁へのelution, diffusionを考えるとやはり圧着しているのが賢明
に思えます。
加えてTAXUS II でpost のISAがあるといっても、術者が物凄く浮いたまま放置して
いるわけではないですから、常識的に留置して多少浮いていても大丈夫、ということ
だと思います。
なので、今revise中のISAのペーパーでは下記のようにdiscussionの中にコメントす
ることとしました。
It seems wise to avoid incomplete stent deployment in order to ensure
efficient drug release from the stent struts to the vessel wall.
ただ、P法にしてもY法にしてもSATに関するデータは不十分ですから今後に注目で
す。

しかし、私がP法が柔道だと思いにくいのは○○先生が御指摘のように将来、LADや
LCxに動脈硬化の進展があったときに治療に難渋しそうだからです。
SAT率が高そうだからではありません。
stent から動脈硬化の進展を抑えるような薬剤が半永久的に流出するようなDESある
いは、抗動脈硬化の経口剤が開発されたなら、現在のLMT病変をP法で治療するのも賛
成ですが。。。
いかがでしょうか?○○先生?

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○○です。

○○先生、Resありがとうございました。
確かに、もともとあったML triも正円ではあったのですが、2.8mm程度にしか広がっ
ていませんでした。広がりにくい病変だったのかもしれません。しかしながら、繰り
返すISRはこのように広がりにくい病変に多いと思われますので、ISRにかたーい
cypherを使う際には、十分な高圧が必要ということだと思います。最近のJACCに出て
いたようにstent area > 5mm2を確認するために、IVUSは重要だと思います。

本日、Cordisの担当者に確認したのですが、Cypherのstrutは、最大3mmしか拡張せ
ず、それ以上のバルーンや、圧をかけた際には、strutが切れてしまうだろうとのこ
とです。実際、どのような拡張形態になるのかは、わからないとの返答でした。おそ
らく、高圧KBTをかけた際には、穴を開けた付近のstrutがぐしゃっと変形して、短縮
することが予想されます。ただ、このステント大変厚いですから、万一strutが切れ
なかった場合には、stentがdog-bone状になって血管壁から浮いてしまうことになり
ます。もしこうなると、SATのriskはY法のほうが高いということになります。
私自身は、Y-stentは、S670でしかしたことが無く、BXの高圧KBTで十分strutの
appositionがとれるのかよくわかりません。経験のある先生は、教えてください。

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○○です。

Cypherのstrutは直径3.0mmにしかならないので、Y法はやったことありません。Y法
は、S670か、Express2でした。ただ、S670は、恐怖のclosed crownがありますか
ら、もう長いことやっていません。

しかし、どうしても、Y法が必要なのは、LMT-LAD以外に、でかいLCxで、入口部狭窄
も伴うような症例です。昔、症例提示しましたよね。ただ、こういう症例は、大抵
LMT−LADが4mm、LMT-LCxが3.5mmくらいはできますから、BMSでもまず再狭窄は極めて
低率と思います。ちなみに、closed crownがなく、ステンレスよりも再狭窄率が低い
といわれている、Driverなんか、とっても有望ではないでしょうか?

やはり、2本のステントはできるだけ避けるのが基本で、そのためには、状況によっ
てはdebulking必須と思います。変に2本入れて悩み、苦しむより、削ってシンプルに
ステント1本、KBTで終わりましょう。

そうです、やっぱり時代は、相撲です。
アーア、ドスコイ、ドスコイ!

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○○です

超蛇足ですが、
BXあるいはCypherのstrutは3mmまで拡がるのではなく、
最大限拡がっても3mmまでだと理解すべきだと思います。
したがって、側枝は拡がっても3mmにはならない位に考えて
処理をおこなうべきではないでしょうか。

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○○
○○先生resどうも、以前から、bxをメインステントとして、使用していますので、
resucueでのYの経験はあります。sやexやduraに比べたら、Yを作るのは大変なので、
積極的には使用してませんでした。でも、20例ほどありますが、高圧で18気圧で拡
大してますので、SATの経験はありません。
適応バルーンとしては3.5、3.0で施行することが多いですね。大きな血管では3.0と
いう制限があるので、やってません。
でも、ワイヤー通過もバルーン通過もすこし大変ですね。
SATは、bifurcation cypherでは3.5%の報告で、クラッシュはもっと高かったと
思います。コロンボの報告は一応にSATが高率という印象があるので、複雑な病変
では、高率と思います。それが、LMTのP法に当てあまるかは別として、確実にISA
はおきているわけですし、それがSATの要因にはなりえる(もしくは、なりえない
ことが証明されていない)ことは事実ですから、可能性がある限りは、起きたら死ぬ
場所なので、確立的に低くても、以前○○先生がいっていたように、1%の危険性で
もあたった人にとっては100%という考え方に賛同する私としては、SATという
部分で、抵抗があります。
PS;たぶん、ステントが出たときに、SATが問題になって、WFをしようしたりし
て、大変な思いしましたが、高圧拡張や、パナルジン、ivusの使用により、確実に
減ったというか、SATを経験しなくなったので、SATに対するこだわりが強いと
思います。

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○○です。

まずISAによるdrugのincomplete deliverについては当然、浮いてる部分はdrug
は効きませんよね。でもある程度拡張してもまだ浮いているところっていうのは
十分内腔がある、ということですよね。正常のところにステントを置いても再狭
窄率が非常に低いのと同じように浮くぐらい内腔があればdrugは必要ないと思い
ますがいかがですか?
ISAだからといって再狭窄が高い、ということもなさそうですし(つまり浮いて
いる部分から血管内へのdiffusionが強くて病変部のplaqueへのdrug diffusion
が減ることをちょっと心配したのですが...)浮くことの問題はないんじゃない
でしょうか。

これまで大きなRCAとか大きなLADとか狭窄手前が大きな内腔で少し手前に置くこ
とになって手前が浮いてる人や、distalはワイヤを進めるトラブルにならないの
で通常平気で浮いたままにしてますがそんな人でSATになった人もないし(大昔
の成人病センターの時の1例だけかな?それもdistalが悪かった人なんで複合要
素だと思います)、つまりSATの点からも、drug diffusionの点からも内腔があ
る状況でのISAは問題なしじゃないでしょうか?

多分、IVUS見てない人なんて一杯ISA作ってますよ。

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○○です。

”浮いているところっていうのは十分内腔がある” だから ”正常のところにステ
ントを置いても再狭窄率が非常に低いのと同じように浮くぐらい内腔があればdrugは
必要ない”という点は少しひっかかります。
たとえば、2.5mmのDESをいれるようなケースでは、”正常のところにステントを置い
ても”という状況とは少し異なるでしょうし、内腔がとれていないケースでもISAは
おこりえます。
加えて、血管壁に対してstent strut が均一に分布しているかどうかも考慮する必要
があります。不均一に分布している部位で、strutが浮いてしまった場合、その近辺
はdrugのdiffusionが極端に少なくなるのが懸念されます。
Hwang et al; Circ2001;104:600-5 のペーパーに、その辺を視覚的に訴えるfigure
があります。

しかし、理論は理論で、実際の臨床上与える影響はどうなの?とうことになります
が、

○○先生おっしゃるように、ISAだから再狭窄率やneointimaが有意差をもって増える
ということはなかったです。ほんの少しだけ増えていたようにも思いますが。

この辺りがDES、とくにCypherで何か研究しようとする場合の難点で、あまりによく
効いているので、理論がそのままクリニカルインパクトに反映しないことが多々あり
ます。

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○○です

2枝病変では1回のPCIでしています
さすがに2回の入院は患者さんの負担も大きいですので、無理だと思います
ただし、急性心筋梗塞の場合は慢性期に責任病変以外を
治療する場合にはリハビリ完了後に一旦退院として
DPC上は急性心筋梗塞の病名で登録します。
後日、狭心症の治療のして再入院して頂いております

DPC導入してからは、患者さんから入院のついでに
他の疾患の検査・治療をするのはむずかいです

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○○です。

現状のCypherでは、3.5、3.0程度の分岐部病変ならば使えそうですが、それ以上の径
が必要な場合には、large BMS Y法、または、debulking+stent KBTのほうが望ましい
ということかと思います。
○○先生のご意見に質問なのですが、LMTのCypher Y法で問題になるのは、ISAが、
LADやLCXの入口部にできてしまうことです。おそらく、Y法を選択するからには、入
口部病変があったのでしょうし、最も再狭窄が来やすい所に、薬剤が溶出しないの
は、全く意味を成さないのではないでしょうか?確実に、両者の入口部にstent
appositionをとりうる方法が再狭窄の面からは、有利だと思います。確かに、3mm以
上の内腔が取れているのでしょうけれども、intimaがstentに接地する数ヵ月後に
は、薬剤は放出してしまっていますので、DESを入れる意味がありません。
その意味では、隔壁が少しLMTに残る程度なら、Cypher P法も考慮すべき方法なのか
なと思い返しました。

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○○
皆さんありがとうございました。弁証法により、このレスで自分がブラッシュアップ
されました。結論
LMTは、taxがでるまではDCA+single DES KBTでいきます。
その他の3.5/3.0の分岐部は意地でもYstentでがんばって、成績だします。
LMTのP法も積極的にやられる先生がいれば、成績を期待しています。合併症などを
報告したいですよね。すくなくとも、コロンボのSAT率よりはるかに低い値にしま
しょう。

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○○です。

DESと分岐部:

DESでまずSATは問題になりません。Park SJ先生のASAN MEDICAL
CENTER
での発表ではSAT率は0.1%で、私が昨年から実際見たSATも
3例だけです。(SAMSUNG MEDICAL CENTER では0.3%位に
なります)皆、clopidogrelを忘れて飲まなかった患者さんで
した。Bare Metal
Stentとほぼ同じだと思われます。clopidogrel
はaspirinと一緒に三日前から 75mg qd 使い、6ヶ月続け
ます。Primary PCIではaspirin 300 mg, clopidogrel 600 mg
を一度に使います。

IVUSは非保険なので、LMT以外はほとんどしません。したがっ
て、stent inappropriate apposition はかなり有るかもしれ
ませんが、臨床的に、restenosis やclinical eventがあまり
無いので、問題にはならないと思っています。late stent
malapposition
が問題になる可能性がありますが、Circulation に最近載っ
たASAN MEDICAL CENTER からのデータを見ると、これもやはり
問題にならない様です。

分岐部PCIはどの方法でも未だ結果がよくないので、私は分岐
が大きくなかったらワイアで保護するだけでなるべくそっと置
くのがベストだと思っております。PCIをやるんだったらシン
プルイズベストの考えで、なるべく簡単な方法を選びますが、
ここでよく行われているV-stent (parallel stent) も、IVUS
をみると、二つの楕円形があって、やはりステントでカバーで
きない部分はありますが、短期結果は悪くはなさそうです。で
も、Follow-Upするとき、IVUSは約半分しかできず、診断カテ
もステントがLMTから突き出してかからなくなったりするのは
悲しいですね。(T_T); 分岐部PCIのlarge-scaled ramdomized
study
 はありますか?

DESを比べて見ると、Cypher はTaxusよりちょっとちょっと少
しrestenosisが少ないような気がします。focal insignificant
(20-30%) in-stent restenosis
 などもほぼ見かけられません。でも、ステントがBXベースで
、入れにくいし、strut cell が小さいので私は(1)分岐部
や(2)曲がりがひどい(very tortuous RCA のdistalなど)
時にはTaxusを優先選択します。それ以外はCypher、、、でな
くて、適当にステント在庫の中で使える物を入れています。
(-_-)
;何しろサプライが二つとも不足気味なので、サイズが合えばOK
ですね。適当なサイズが無くで、bare metal stent があって
も、DES のsecond stage PCI になったりします。


多枝病変のPCI、入院期間:
歴史、習慣、文化的な差もあるでしょか、韓国人は急がし屋が
多いためか(加減速度がジェットコースター並のソウルの市内
バスは、外国人は手すり握っても立っていられませんよ)多枝
病変のPCIは時間とcontrast dyeとリスクの問題が無ければ、
一回で済ませます。入院期間は、PCIの約1/3は予約で半日入院
で、その日に退院させます。AMIでは患者さんが安定していて
、CK-MBが減少したら、退院ですが、4日位入院です。(長い
入院は、レジデント先生は新患が減って好かれますが、患者さ
んと病院の経営部からは嫌われています)

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はじめまして平成4年卒業の○○と言います。
この4月から大学に戻り○○先生の下でTRIを学んでいます。
今後さらに勉強したく、このたびTRA-netに入会させていただきました。
よろしくお願いします。

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遅ればせながら参加させていただきます。
宜しくお願い致します。

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はじめまして。○○病院の○○と申します。
以前にもごく少数のTRI経験があったのですが、
今年の6月から当院に赴任しまして以来TRIを本格的にするようになりました。
まだまだ細かいテクニックを含め勉強することが多いと感じています。
今後ともよろしくお願いいたします。

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