TRA用造影カテーテル

@ TRA用ジャドキンス

 ジャドキンスタイプのカテは、もともとfemoralアプローチ用に形状が作られています。TRAでは、上行大動脈への入り方がfemoralアプローチと異なるので、ジャドキンスタイプの形状も若干変更したものが好まれます。

写真はカテックス社製です。

 具体的にTRA用左ジャドキンスは、第1カーブに入る手前に45度ぐらいにカテを反らせてあり、先端の最終カーブはほぼ直角に曲げてあります。この形状ですと、LMTの天井に先端チップが当たるように入りますので、その時冠動脈側になる方向に1個か2個の側孔を空けることで、冠動脈の造影性を確保しています。このような形状は各社発売していると思います。

 右ジャドキンスはfemoral用と同じ形状でも構いません。

A 左右両用カテ

 左右の冠動脈をこれ1本で造影するために開発されたカテーテル。全体的な形は似ていますが、微妙に先端などの形状が異なり、それぞれ開発者の名前付いています。(ミツドーカテ、サイトウタロウカテetc.などあるようです。)

B マルチパーパス

 カテーテルの先端部分約4cmぐらいを軽く曲げたカテーテルで先端には側孔が付いています。古典的なソーンズのカテに良く似ていますが、左右、LVGまでこの1本でできるので、他のジャドキンスタイプのカテの約3倍の値段を厚生省が付けています。材料費、手間賃などは他のカテとほとんど同じと思われるので、メーカーは利幅が大きいよね。

C Yumikoカテーテル

 三宅由美子先生(春日部中央総合病院)が考案されたIMA用カテ(グッドマン社)です。右radial or brachialアプローチにて、左右IMAを造影する目的で作られました。左IMAだけの造影で良いなら、左radialアプローチをすれば良いのですが、両IMA造影の時はこれまではfemoralから施行していました。しかし、このカテの出現でTRAでも両IMA造影が可能となりました。

Yumikoカテの使用法  以下は春日部中央総合病院の安藤先生の投稿です。
Yumikoカテの使用法は右のTRA用です。左からは左IMAとGEAは簡単に造影できますが、右IMAはカテが短く造影困難です。左IMA造影はまずガイドワイヤー先行で上行大動脈までカテを持っていき、ガイドワイヤーを引き抜きそのまま押し込むと、Yumikoカテの先端部が反転し、本来の形になります。そんまま引いてきて、clockに回し先端を左鎖骨下動脈に挿入しcounterに回し引き上げると左IMAに挿入されます。右IMAは上行大動脈でカテを本来の形にし、clockに回し先端をbrachiocephalicに向け、そのまま引き上げると右subclaviaに入ります。この際common carotidに入ってしまうときは、LAO cranialにすると、subclaviaとcommon carotidが分離されますのでsubclaviaに先端を導きやすいです。そしてそのまま引いてきてrotationをかければ右IMAに入ります。最後にGEAですがこれは通常ガイドワイヤー先行で入れます。カテ先端をTH12前後に位置し、ガイドワイヤーでTH12とL1の椎間板あたりをさぐるとceliacにガイドワイヤーが入りますのでYumikoカテを進めればgastroduodenalに先端が挿入されます。最初慣れるまでは時間がかかるかも知れませんが、慣れれば全行程10分もあれば造影できますので皆さん頑張ってください。